知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

ジュビロ磐田 補強禁止処分覆らず これからどうなる

 サッカー来季J2のジュビロ磐田は、外国人選手の契約を巡り、国際サッカー連盟から補強禁止などの処分を受けてスポーツ仲裁裁判所に提訴していましたが、訴えを棄却されました。戦力補強できない厳しい事態に陥った磐田の現状と影響をまとめました。

スポーツ仲裁裁判所が訴え棄却 問題の余波は?

 サッカーJリーグ来季2部(J2)のジュビロ磐田は23日、ファビアンゴンザレス選手(30)の契約を巡り、国際サッカー連盟(FIFA)から来季の補強禁止などの処分を受けスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴していたが、訴えを棄却されたと発表した。クラブは「申し立てが認められなかったのは遺憾だが、CASの判断に従いスポーツ制裁を受け入れる」とした。

 発表によると、クラブ側が10月19日にCASに提訴した件について、今月20日に審問が行われ、22日に申し立て棄却の判断が下された。CASが訴えを棄却した理由は現時点で明示されていない。
 この判断を受け、クラブは「結果を非常に重く受け止め、ガバナンス体制を改めて見直し、再発防止を図る」とコメントした。
 クラブによると、2021年から加入したゴンザレス選手は前所属クラブ退団後、磐田との契約締結前にタイのクラブと取り交わした契約があったとされ、FIFA規則に違反するとの指摘を受けた。磐田はタイのクラブとの契約を認識しておらず、引き抜きには当たらないと主張していた。FIFAの決定内容は、ゴンザレス選手と磐田が連帯してタイのクラブに約5万ドルを支払うよう命じたほか、ゴンザレス選手の4カ月間の公式戦出場停止処分があった。

 ■降格に加わった痛手 信頼回復へ復権の道を
 ジュビロ磐田に対する国際サッカー連盟(FIFA)の厳しい決定は覆らなかった。
 問題が発覚した当初、クラブ幹部は空手形で選手獲得に動くこともできず「絶望的」とクラブが置かれた状況を嘆いた。今季、ベテラン中心の編成で夏場に失速し、J2に降格した磐田にとって、新たな若い戦力を補強できないのは致命的。来季加入が内定していた大学生FWの仮契約を解除せざるを得ず、Jリーグ他チームに流れたのも大きな痛手だ。このままでは1年でのJ1昇格はおろか、J2での上位確保さえ危ぶまれる事態だ。
 問題の余波はトップチームだけでなく、小中高校生の育成年代にまで及んでいる。各年代のチームはこの問題の影響で1年間、日本サッカー協会への登録が必要な大会や活動に参加できない旨を伝えた上で選手募集を行っていた。この年代の戦力に大きな穴が開く事態は避けられない。
 クラブ創設30年目の来季、J2で戦う磐田。戦力補強のできない来季はチーム内の若手育成の好機とも言える。苦戦を強いられても一歩ずつ着実に、信頼回復と復権への道を模索するしかない。
 〈2022.12.24 あなたの静岡新聞〉

経営陣に動きも アスリート出身の浜浦新社長就任

 来季J2の磐田は22日、臨時取締役会と株主総会で、小野勝社長(64)が退任し、旧ヤマハ発動機ラグビー部OBの浜浦幸光氏(53)の社長就任を正式に承認した。オンラインで会見し「もともとアスリートなので選手の気持ちはある程度分かる。現場の意見を聞けるのが自分の強み」と抱負を述べた。

オンラインで抱負を述べる浜浦新社長
オンラインで抱負を述べる浜浦新社長
 浜浦新社長はクラブからの就任要請について「最初はびっくりした。クラブからは何とか立て直して、将来を見据えて持続した発展をしたいと言われた」と明かした。国際サッカー連盟(FIFA)からの補強禁止処分などクラブの課題に関しては「現状把握で精いっぱい」と明言を避け、「下(J2)に落ちたので何とかしたい」と語った。
 取り組んだ競技は違えど、以前から磐田のサポーター会員で家族で試合観戦するほどのサッカー好き。「(ラグビーとは)大久保グラウンドで隣同士。サッカー選手も身近だった」と親近感を示した。
 富山県出身の浜浦新社長は筑波大を経て、静岡ブルーレヴズの前身ヤマハ発ラグビー部に1992年から2004年まで在籍。現役引退後はスクラムコーチ、解説者としても活動。18年から中国のヤマハ発グループ会社の責任者などを務めた。
 〈2022.12.23 あなたの静岡新聞〉

致命的 若い戦力補強できず 加入内定の大学生FWの仮契約解除

 来季J2への降格が決まったJ1磐田は17日、来季加入が内定していた東京国際大のFW師岡柊生(21)の仮契約を解除すると発表した。外国人選手の契約を巡り、国際サッカー連盟(FIFA)から来季の補強禁止処分を受けたのが原因。J1鹿島は同日、師岡の来季からの加入内定を発表した。

 事態を受け、磐田は「このクラブでプレーすることを選んでくれた師岡選手をはじめ、ご家族の皆さま、サッカー選手としての成長に携わってこられた方々、ジュビロ磐田のファン・サポーター、すべての関係者に心よりおわびする」とのコメントを出した。
 FIFAからの処分を巡って、磐田は処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴しているが、まだ裁定が出ていない。
 師岡は自身のSNSで「多くの支えがありここまで来られた。さらに鹿島で成長し、活躍できるように頑張る」と記した。
 〈2022.11.18 あなたの静岡新聞〉

ゴンザレス 磐田の前にタイのクラブと契約か FIFAが処分

 J1磐田は19日、コロンビア人FWファビアンゴンザレス(29)の契約問題で、国際サッカー連盟(FIFA)から賠償金の支払いや2023年の新規選手登録禁止処分を受けたと発表した。磐田は処分を不服として同日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴した。

ファビアンゴンザレス
ファビアンゴンザレス
 クラブによると、2021年から加入したゴンザレスは前所属クラブ退団後、磐田との契約締結前にタイのクラブと取り交わした契約があったとされ、FIFA規則に違反するとの指摘を受けた。
 磐田はタイのクラブとの契約を認識しておらず、引き抜きには当たらないと主張している。FIFAの決定内容では、ゴンザレスと磐田が連帯してタイのクラブに約5万ドルの賠償金を支払う命令や、ゴンザレスの4カ月間の公式戦出場停止処分がある。
 ゴンザレスは今季リーグ戦18試合に出場しチームトップに並ぶ6得点を挙げた。
 〈2022.10.20 あなたの静岡新聞〉