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新たな聖地化期待 浜松舞台のアニメ「夢見る男子は現実主義者」

 2023年放送予定のテレビアニメ「夢見る男子は現実主義者」のモデル地に浜松市が選ばれました。主人公が暮らす街として、浜松市内の風景や観光名所などが登場します。「ゆるキャン△」「エヴァ」などこれまで数々のアニメの「聖地」になった浜松市。今月都内で開催されるコミケにも初出展しモデル地をPRします。浜松ゆかりの作品に関する話題を1ページにまとめます。

主人公が暮らす街として観光名所など登場

 浜松市は29日、ネット小説が原作の新規テレビアニメ「夢見る男子は現実主義者」のモデル地に選ばれたと発表した。2023年に放送される予定。主人公が暮らす街として、市内の風景や観光名所などが登場する。

浜松市がモデル地となるアニメ「夢見る男子は現実主義者」をPRする市担当者。公開された動画ではアクト通りの風景が描かれている=市役所
浜松市がモデル地となるアニメ「夢見る男子は現実主義者」をPRする市担当者。公開された動画ではアクト通りの風景が描かれている=市役所
 進学校に通う高校生の恋愛もようを描いた「すれ違い青春ラブコメディー」。同名の原作(おけまる作)は小説投稿サイトに連載中で、「HJネット小説大賞2019」で応募3356作の中から大賞に選ばれ、書籍や漫画化もされている。
 原作で特定の舞台設定はなかったが、アニメ化に伴ってリアリティーや共感性を求め、自然環境や中心街などロケーションが豊富な浜松市をモデル地に選んだという。
 18日公開のプロモーション動画にはJR浜松駅近くのアクト通りが登場し、学校も浜松市立高などがモデルになっている。再生回数は既に10万回を超え、コメントの約半数は海外からとみられる。
 同日の定例記者会見で鈴木康友市長は「聖地化に向けて取り組み、観光誘客、交流人口の増加につなげたい」と期待を寄せた。(浜松総局・宮崎浩一)
〈2022.11.30 あなたの静岡新聞〉

浜松市がコミケに初出展 ゆるキャン△、エヴァもPR  

 浜松市は29日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で12月30、31の両日に開催される国内最大級の同人誌即売会「コミックマーケット101」に初出展すると発表した。自治体によるコミケ出展は極めて珍しいという。

8月に行われた国内最大の同人誌即売会「コミックマーケット100」=2022年8月13日、東京都江東区
8月に行われた国内最大の同人誌即売会「コミックマーケット100」=2022年8月13日、東京都江東区
 「夢見る男子は現実主義者」「ゆるキャン△」シリーズ、「エヴァンゲリオン」シリーズといったアニメをはじめ、漫画「焼いてるふたり」など同市がモデル地となった作品をアピールする。
 コミケは1975年から始まり、日本の漫画文化や創作活動を支え、世界に発信してきたサブカルチャーの祭典。今回で101回目を迎える。
 市の担当者は「国内外からの注目度を高め、地方創生を加速させたい」と強調した。
〈2022.11.30 あなたの静岡新聞〉

​ ほのぼの恋愛漫画「焼いてるふたり」も好評

 浜松市を舞台にしたハナツカシオリさんのコミック作品「焼いてるふたり」が2020年9月から、青年漫画誌「週刊モーニング」(講談社)で連載されている。コロナ禍で注目される地方移住といったテーマも絡めた恋愛ストーリー。ほのぼのとした作風が読者に好評だ。

浜松が舞台の漫画「焼いてるふたり」(c)ハナツカシオリ/講談社
浜松が舞台の漫画「焼いてるふたり」(c)ハナツカシオリ/講談社
 「焼いてるふたり」は、東京の会社員・福山健太がマッチングアプリで妻となる千尋と出会い、“交際ゼロ日婚”するところから始まる。
 仕事の関係で浜松に移住した健太は、千尋と遠距離婚を続けながら徐々に絆を育む。市内で2人が訪れる場所として南区の中田島砂丘や中区の浜松城、アウトドアショップなどさまざまなスポットが登場する。
 浜松が舞台となったきっかけは、同誌の市村千佳副編集長の経験。浜松出身の友人が9年ほど前にUターンして以来、年に数回訪れるようになり、「素晴らしい環境に魅了された」という。ハナツカさんと新作の構想を話し合う中で、東京との程よい距離感も考慮して選んだ。
 2人の距離を縮める鍵となるバーベキューは、市村さんが浜松でもてなしを受けた体験を取り入れた。首都圏からの移住者誘致に積極的な市も、移住事例などの情報提供で協力している。
 物語は千尋も浜松に移住し、新たな展開に進む予定。ハナツカさんは浜松の印象を「ずっと住んでいた街のような安心感がある」と話す。その上で「自転車で走ったり、散歩したりすれば、気持ち良さそうな道がたくさんある。そういった空気感も描いてみたい」と抱負を語る。(浜松総局・草茅出)
〈2021.6.22 あなたの静岡新聞〉

「聖地巡礼」人気 エヴァンゲリオン「第3村」転車台など 

 

 車両基地の転車台を中心に「第3村」の世界は広がる。木造の扇形車庫を改装した診療所、旧事務所の建物は住居として登場―。現実と作品が重なり合う空間は、多くのファンの心をつかんでいる。

 作品は、日本を代表する人気アニメの劇場版4部作の完結編として、昨年3月に公開。天竜二俣駅の車両基地周辺が主要な舞台の「第3村」のモデル地の一つとなった。

 

劇中では診療所として登場する扇形車庫=浜松市天竜区二俣町

 

 棚田で田植えをする女性ら、共同浴場でむつまじく談笑する人々。自給自足の生活を送る人々が暮らす第3村には、昔ながらの村落共同体の姿がある。失意の底に沈む主人公碇シンジは、同級生らが住むこの村に身を寄せる中で、心身を回復していく。

 モデル地となった施設の多くは1940年の旧国鉄二俣線の開業時から今も現役で使われている。2011年には国の有形文化財に登録された。

 

天浜線で運行しているエヴァンゲリオンのラッピング車両=浜松市天竜区二俣町

 

 劇場公開後、〝聖地〟としてファンが全国から訪れている。目当ては転車台の見学ツアー。休日には参加者が列をなす光景が日常となった。劇中の舞台が次々と目の前に現れるたび、歓声が上がる。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のモデル地の一つとなった天竜二俣駅の転車台。夏休みは親子連れの見学も多い=浜松市天竜区二俣町
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のモデル地の一つとなった天竜二俣駅の転車台。夏休みは親子連れの見学も多い=浜松市天竜区二俣町
 20年以上ツアーのガイドを務める松下ヨリ子さんは「公開後、いろんな世代のお客さんが来てくれており、ガイドにも力が入る。みなさん作品の舞台そのままだ、と感動されている」と語る。

 

 創業時と変わらぬ姿を残す施設の趣は、作品を未見の人にも楽しめるはず。真夏のひとときのタイムスリップに繰り出そう。

 

鉄道歴史館には第3村のシーンのパネルや庵野秀明総監督のロケハン時の写真などが飾られている=浜松市天竜区二俣町

 

 <メモ>庵野秀明総監督は、スタッフとともに、天竜二俣駅へロケハンに訪れた。自ら熱心に写真を撮りながら施設内にスタッフを配置し、作画のイメージを膨らませていたという。診療所として登場した扇形車庫に隣接する鉄道歴史館には、庵野総監督らのロケハン時の写真が飾られている。第3村の舞台を見学できる転車台ツアーは平日1回、土日祝は2回開催される。

 

天竜浜名湖鉄道 天竜二俣駅

 

〈2022.8.11 あなたの静岡新聞〉

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