⚽ジュビロ磐田に補強禁止処分 経緯は? 影響は?
ジュビロ磐田が、コロンビア人FWファビアンゴンザレス選手の契約問題を巡り、国際サッカー連盟(FIFA)から受けた補強禁止処分が、ユースの募集にまで影響しています。わずか1シーズンで再びJ2に降格する磐田。復活には人材の育成、補強が鍵を握る中、大きな痛手となっています。処分の経緯や影響をまとめました。
補強禁止処分 下部組織募集に影響 新中1、参加できない大会も
J1磐田が外国人選手の契約問題を巡り国際サッカー連盟(FIFA)から育成年代を含む補強禁止処分を受けた問題で、下部組織の選手募集にも影響が及んでいる。クラブは処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ提訴しているが、訴えが認められなければ新中学1年(現小学6年)は1年間、日本サッカー協会への登録が必要とされる大会や活動への参加が認められないためだ。
CASから裁定が出る時期については「現時点では不明」としているが、クラブ関係者によると、CASからの裁定は一般的に提訴から3~4週間かかるとみられる。
〈2022.11.1 あなたの静岡新聞〉
ゴンザレス 磐田の前にタイのクラブと契約? FIFAから処分
J1磐田は19日、コロンビア人FWファビアンゴンザレス(29)の契約問題で、国際サッカー連盟(FIFA)から賠償金の支払いや2023年の新規選手登録禁止処分を受けたと発表した。磐田は処分を不服として同日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴した。
磐田はタイのクラブとの契約を認識しておらず、引き抜きには当たらないと主張している。FIFAの決定内容では、ゴンザレスと磐田が連帯してタイのクラブに約5万ドルの賠償金を支払う命令や、ゴンザレスの4カ月間の公式戦出場停止処分がある。
ゴンザレスは今季リーグ戦18試合に出場しチームトップに並ぶ6得点を挙げた。
〈2022.10.20 あなたの静岡新聞〉
観客数伸び悩む磐田 補強禁止は大きな痛手に
秋風が吹き始めた10月初旬のJR浜松駅。J1磐田の強化責任者に就任したばかりの藤田俊哉スポーツダイレクター(SD)は困惑していた。黄金期を築いた現役時代に経験がないという地元戦をPRするチラシ配り。「本来は『楽しい』と思える人が試合に来てくれるのが自然」。絞り出した言葉は、観客数が伸び悩む磐田にとって重く響いた。
夏休みの書き入れ時となる8月のチケット販売のシステム障害も痛手だった。チームが低迷する中、ホーム連戦のセット販売で起死回生を狙っただけに、クラブ関係者は「せっかく予約してもらったサポーターにご迷惑をかけてしまった」と肩を落とした。
監督と強化責任者が同時に解任された8月には、運営サイドもクラブへの苦情対応などで混乱を極めた。ある社員は「チームよりも会社の方が心配」と口にするほど、その動揺は大きかった。
9月に就任した藤田SDは「世界で戦えるサッカーを目指してフットボールを再構築したい」と大きな目標を掲げる。そのためにはフロントや運営を含めた人材育成、環境整備が不可欠となる。
だが、そんな時にチームに激震が走った。外国人選手の契約問題を巡り、国際サッカー連盟から育成年代を含む補強禁止処分などを受けた。スポーツ仲裁裁判所の裁定待ちだが事態は深刻だ。この問題以前から、ユースの有力選手にはトップチームを経ずに「海外クラブへ行きたい」と言う選手も出始めている。
1997年から6年間で3度の年間優勝を成し遂げた黄金期は過去の遺産。J1昇格という短期的な目標だけでなく、今後の方向性をどう示すか。MF山田大記は「クラブとして一貫性を持って戦わないと高みにはたどり着けない」と言った。クラブ創設30年の節目をJ2で迎える磐田にとって、来年が試練の年になるのは間違いない。
〈2022.11.3 あなたの静岡新聞〉