フェード現象 もしもの場合の対処は? 予防のポイントは?
小山町須走の県道で10月、観光バスが横転して乗客の女性が死亡し、26人が重軽傷を負った事故が発生しました。下り坂でフットブレーキを使いすぎることでブレーキ機能が低下する「フェード現象」が発生した可能性が高いとされています。
乗用車を運転中に万が一、フェード現象が発生した時の対応や、防ぐための運転方法について、自動車学校で安全指導に携わる職員に聞きました。
下り坂でブレーキが利かない フェード現象の原因は
静岡市清水区のスルガ自動車学校、安全教育事業部の畑光広部長、スルガ安全教育センターの村上知己副センター長によると、長い下り坂を走行する場合は乗用車でもフェード現象が発生する可能性がある。

さらに、フットブレーキには2つのタイプがある。ドラムブレーキとディスクブレーキだ。ドラムブレーキは、ブレーキペダルを踏むとブレーキフルードという液体の油圧によってシューが外側に広がり、タイヤにブレーキがかかる仕組み。ディスクブレーキは、車輪の軸と一緒に回転しているディスクと呼ばれる円盤型の部品を外側からブレーキパッドで挟みこむことで速度を落とす。ともに摩擦を利用して車輪の動きを止める。


フットブレーキを多用すると、摩擦面が高熱になることで発生したガスが摩擦面に挟まり、結果として摩擦力が弱まりブレーキが利かない事態が発生する。
起こってしまった場合の対処法は
万が一、フェード現象が起きたらどうしたらいいのだろう。村上副センター長は「エンジンブレーキを利かせやすい状態にするため、まずはギアを下げる」と覚えておいてほしいという。アクセルペダルを離すと、タイヤの回転力のみを使ってエンジンを動かしている状態になり、その負荷がエンジンの回転を弱める。低速ギアの方がより強くエンジンブレーキが利く。

フェード現象が起きた場合、絶対にやってはいけないのは「エンジンを切ること」だという。ブレーキもハンドルも、エンジンの動力を利用して操作しているため、エンジンを切るとそれらも動かなくなってしまうためだ。
下り坂で自然とスピードが上がるならギアを下げて
フェード現象が発生すると突然ブレーキの反発がなくなる。予兆は基本的ににないという。フェード現象が起きることを防ぐため、長い下り坂では状況に合わせた変速が必要になる。

重要なのは、自分が普段乗っている車のギアの仕組みを正しく理解することだという。シフトレバーの構造や表示は車種によって違いがある。オートマ車でもマニュアルモードに切り替えて、手動で細かい変速を行えるものもある。村上副センター長は「普段運転している車の構造を理解し、それぞれのギアがどういった道路状況に合致するのかを理解することが重要」と強調した。