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静岡市長選 元副知事の難波氏が出馬検討 経緯と構図は?

 静岡県の副知事を2期8年務めた難波喬司氏(66)が2023年春の静岡市長選への出馬を検討していることが明らかになりました。難波氏は19年の静岡市長選でも出馬を検討し、見送った経緯があります。難波氏の去就を巡る動きや来春の静岡市長選の構図をまとめます。

県理事の退職検討が明らかに

 前副知事で県理事の難波喬司氏(66)が県の退職を検討していることが14日までの複数の関係者への取材で分かった。任期満了に伴って2023年4月に予定される静岡市長選への出馬に向けた準備との見方もある。

難波喬司県理事
難波喬司県理事
 複数の関係者によると、難波氏は県職員の辞職願を提出した後、出馬会見などの準備作業を検討しているという。
 難波氏は取材に「辞職するかはまだ決めていない。決めた段階で速やかにお伝えする」と述べた。
 難波氏は岡山県出身。1981年に当時の運輸省に入省し、国土交通省技術総括審議官などを務めた。退職後の2014年から22年5月まで副知事を県政史上最長となる2期8年務めた。同月から、熱海市土石流災害対応とリニア中央新幹線工事に伴う大井川水問題を担当する一般職任期付職員の県理事として採用された。
 難波氏は19年の静岡市長選でも出馬を検討し、最終的に見送った経緯がある。
 次期静岡市長選には現職の田辺信宏氏(61)と県議の山田誠氏(60)が出馬の意向を固めている。
〈2022.10.14 あなたの静岡新聞〉

出馬検討認める 各方面の反応は?

 前静岡県副知事で県理事の難波喬司氏(66)が退職を検討していることが判明した14日、県政の重要課題を担う難波氏の去就を巡り、今後の県政や静岡市政への影響にさまざまな観測が広がった。難波氏は取材に、来春の静岡市長選への出馬を検討していることは認めた上で「早い段階で(態度を)表明しなければいけない」としつつ、自身の進退などについては明言を避けた。

難波喬司氏
難波喬司氏
 県庁で取材に答えた難波氏は「豪雨災害で多くの人が苦しんでいる時にコメントする時期ではない」とし、「前回(2019年市長選)は(立候補見送りの)表明が遅れて迷惑をかけた。早い時期に表明したい」と遠くない時期に態度を示すと述べた。
 同市長選には現職田辺信宏氏(61)と、県議の山田誠氏(60)が出馬の意向を固めている。難波氏の動向について田辺氏は14日、直接の言及は避ける形で「台風15号で被災された皆さんが一日も早く日常に戻れるよう専心する」とのコメントを発表。山田氏は取材に「選択肢が増えるのは良いこと」と答え、「自分の出馬の意向は変わらない。危機管理や将来の市のため、変えるべきところは変える」と述べた。
 難波氏は14年の副知事就任以降、リニア中央新幹線に伴う大井川の水問題や、熱海市の土石流災害などで陣頭指揮を執った。港湾振興などにも取り組み、22年5月に県理事に就任した後もこれらの担当を継続してきた。
 副知事在任中だった前回の市長選でも出馬が取り沙汰されたものの、見送った経緯がある。田辺氏への批判がある同市清水区の政財界には、次の市長選に向け難波氏の出馬を期待する関係者もいる。
 一方、県議会最大会派自民改革会議の県議の1人は「リニアや熱海の問題が解決しない中で難波氏が辞めるのなら、投げ出し(たとの)批判は免れない」と指摘。田辺氏を支える自民系市議は「特段驚きはない」として難波氏の動向を見守る構えを示した。
 川勝平太知事は14日、取材に応じ、難波氏から退職の考えは聞いていないとした上で「ここから有終の美を飾ると思っていた」とした。立候補を決断した場合の支援については「分からない」と述べた。
〈2022.10.15 あなたの静岡新聞〉

前回市長選で出馬取り沙汰されるも断念

静岡市長選不出馬の意向を明らかにする難波喬司副知事=4日午前11時半ごろ、県庁
静岡市長選不出馬の意向を明らかにする難波喬司副知事=4日午前11時半ごろ、県庁
 ※2019年2月4日静岡新聞夕刊から
 4月の静岡市長選への出馬が取り沙汰されていた難波喬司副知事(62)が4日、記者会見し、市長選に出馬しない考えを正式に表明した。難波氏は出馬を後押ししてきた川勝平太知事や市民らの期待に沿えないまま、副知事の職にとどまれないとして県議会2月定例会最終日の3月8日限りの辞職願を4日、川勝平太知事に提出したが、川勝知事は受理せず、続投することになった。
  難波氏は不出馬の理由について「劇場型の選挙は信条に合わず、公務員としての自分の信念を優先した」と説明した。川勝知事は「今までよくやってきてくれた。これからもそのように(続けてほしい)」などと述べ、辞職願を受け取らず、破ったという。難波氏は「そのまま続けていいのかという思いが交錯し、心の整理がついていない」と語った。
  現市政に批判的な川勝知事や県議2人、市民有志が1月に難波氏の自費出版を祝う会を開催するなどして難波氏に出馬を求めてきた。静岡市長選は現職の田辺信宏市長が3期目を目指して出馬を表明している。これまでのところ、ほかに出馬の動きはないが、共産党が候補者擁立を検討している。
  難波氏は名古屋大大学院修了後、1981年運輸省(現国土交通省)に入省。技術総括審議官などを歴任して退職し、2014年5月から副知事を務めている。港湾政策の専門家として手腕を発揮し、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減少対策では、中心になってJR東海との協議に当たっている。

現時点での構図は? 来春の静岡市長選


 ■現職田辺氏が4選出馬意向
 静岡市の田辺信宏市長(60)は20日、2023年4月12日の任期満了に伴う市長選に、4選を目指して出馬する意向を固めた。田辺氏は取材に「(4選)出馬を否定したことはなく、常に意欲を持っている。しかるべきタイミングで態度を表明する」と答えた。
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田辺信宏氏
   歴史文化や海洋文化のまちづくりなど市長肝いりの「五大構想」が道半ばだとして、事業を継続する方針。23年度から8年間の市の最上位計画として策定中の「第4次総合計画」を実行に移す。
 田辺氏は静岡市出身。1991年に旧静岡市議に初当選し、95年から県議選に3回連続当選。2003、05年の衆院選に無所属で立候補し落選。11年の同市長選に無所属で初当選し、現在3期目。
 同市長選への出馬意向が明らかになったのは田辺氏が初めて。
〈2022.07.21 あなたの静岡新聞〉

 ■静岡県議の山田誠氏も出馬意向
 静岡県議の山田誠氏(60)=静岡市葵区北安東=が23日までに、2023年4月の任期満了に伴い予定される静岡市長選に出馬する意向を固めた。関係者への取材で分かった。
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山田誠氏
   同日、市内で開かれた後援会役員会で出馬の意思を伝えた。県議会9月定例会閉会後の10月中旬以降に正式に出馬表明するとみられる。
 山田氏は取材に「人口減少やコロナ禍で静岡の社会や経済が停滞し閉塞(へいそく)感がある。子どもを中心としたまちづくりを進めて経済にも好循環を生み出す。10年、20年後は、明るくにぎやかな街にしたい」と答えた。
 同市出身。不動産会社役員。計測機器メーカー勤務を経て、1991年の同市議選で初当選。3期途中の2004年に県議に転身し、現在5期目。祖父は山田順策元静岡市長。
 同市長選には、現職の田辺信宏氏(61)も出馬の意向を固めている。
〈2022.09.24 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞