どうなる大道芸W杯 プロデューサー解任これまでの経緯
静岡市で11月に開催される大道芸ワールドカップのプロデューサーの奥野晃士(おくの・あきひと)氏が、ボランティア向けの講習会で外国人差別と受け取れる発言や資料配布をしていたことが分かり、大会実行委員会は奥野氏の解任を決めました。問題となった講習会での発言や、大会への影響をまとめます。
問題の発端は ボランティア向け講習会で外国人差別発言
実行委員会が9月に開いたボランティア対象の講習会で、イベントのプロデューサーを務める県舞台芸術センター(SPAC)俳優の奥野晃士氏が外国人差別と受け取れる発言をしていたことが、6日までの関係者などへの取材で分かった。SNS(交流サイト)を中心に批判の声が高まっている。

■発言の内容は
講習会は9月17日に市内で開かれた。今大会は新型コロナウイルスの影響で海外パフォーマーの参加を見送ったことを踏まえ、奥野氏は「日本人による日本人らしい祭典を目指す」というテーマで講話した。日本人のルーツや特徴などを記した配布資料を基に「中国人や韓国人は日本人とはルーツが違う」「中国は易姓革命、皆殺し文化だった。そういう中で廃れていったのではないか」などと発言した。
奥野氏は取材に「偏った表現になり不徳のいたすところ。心からおわびし、(講習会で配布した)内部資料を撤回する」と答えた。
〈2022.10.07 あなたの静岡新聞〉を編集
開催可否協議にまで発展 17日までに判断
大会実行委員会は7日、静岡市内で記者会見を開き、奥野氏の解任を正式に発表した。大会開催の可否については関係者と協議し、17日までに発表する。

杉山茂之実行委員長は「(資料には)日本人の優れた面を強調するために他民族を引き合いに出し、違いを示すような表現があった」と指摘。「和のイメージを打ち出すコンセプトがあったとしても、それを大きく逸脱していて看過できない」と解任を決めた理由を説明した。任命責任や実行委のコンプライアンス欠如の責任を取るとして、辞任を表明した。
奥野氏は「私の考えが大会の理念であるかのように誤解を与え、大変申し訳ない。大会を楽しみにしていた市民に改めておわびする」と謝罪した。
奥野氏の解任、杉山実行委員長の辞任はともに7日付。今大会については猪股宏光副委員長が委員長代理を務め、関係者との協議や調整を行う。プロデューサー職は空席とする。開催可否は出演者やボランティアらと協議し、総合的に判断するという。
奥野氏は9月17日に市内で開かれた講習会で日本人の特徴や外国との違いを記した資料を参加者に配り、「中国は易姓革命、皆殺し文化だった」などと発言していた。
猪股副委員長によると、講習会前日に奥野氏から資料のデータを預かったが、内容の確認はしなかった。印刷を担当した別の委員から内容を指摘する意見もあったが、その時も確認をしなかったという。講習会から解任を決めるまでの約3週間は「問題を認識していなかった訳ではないが、他の業務が忙しくて対応できなかった」と説明した。
〈2022.10.08 あなたの静岡新聞〉
奥野氏は「私の考えが大会の理念であるかのように誤解を与え、大変申し訳ない。大会を楽しみにしていた市民に改めておわびする」と謝罪した。
奥野氏の解任、杉山実行委員長の辞任はともに7日付。今大会については猪股宏光副委員長が委員長代理を務め、関係者との協議や調整を行う。プロデューサー職は空席とする。開催可否は出演者やボランティアらと協議し、総合的に判断するという。
奥野氏は9月17日に市内で開かれた講習会で日本人の特徴や外国との違いを記した資料を参加者に配り、「中国は易姓革命、皆殺し文化だった」などと発言していた。
猪股副委員長によると、講習会前日に奥野氏から資料のデータを預かったが、内容の確認はしなかった。印刷を担当した別の委員から内容を指摘する意見もあったが、その時も確認をしなかったという。講習会から解任を決めるまでの約3週間は「問題を認識していなかった訳ではないが、他の業務が忙しくて対応できなかった」と説明した。
〈2022.10.08 あなたの静岡新聞〉
解任騒動 周囲への影響は
講習会には約10人が参加した。参加者の一人は「ボランティアにも外国にルーツのある人はいる。(奥野氏の発言は)看過できない」と非難した。関係者によると、既に出演者数組とボランティアから参加辞退の申し出があるという。
■「許されぬ考え」 宮城SPAC総監督
奥野晃士氏の資料の内容などを受け、SPACの宮城聰芸術総監督は6日までに「大道芸ワールドカップにとって決して許されない考え方だ」との見解を動画投稿サイト「ユーチューブ」で表明した。
宮城氏は「一人のアーティストがどういう思想を持つかは自由」とした上で、「公的事業がその思想の下に運営されると受け止められる行動は、プロデューサーとして極めて不適切だった」と指摘した。
奥野氏は宮城氏が演出する舞台公演に数多く出演している。
■奥野氏はSPAC出演・参加を辞退
静岡県舞台芸術センター(SPAC)は7日、奥野氏が、予定されるSPACの事業への出演・参加を全て辞退したと発表した。
奥野氏は静岡市を拠点に活動し、SPACの舞台公演などの活動に参加していた。宮城聰芸術総監督が演出を担当する本年度公演にも出演予定だった。公演は俳優を変更して実施する。
〈2022.10.6/10.7/10.8 あなたの静岡新聞〉を編集