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日本三奇祭「島田大祭・帯まつり」 見どころは

 華やかな元禄絵巻が街を彩る3年に1度の「島田大祭・帯まつり」が10月8〜10日、島田市内で開催されます。1695年のみこし渡御から300年以上続く祭りで「日本三奇祭」とも言われています。祭りの見どころを、開催準備の話題を交えながら1ページにまとめました。
 〈キュレーター:編集局未来戦略チーム 楢橋璃歩〉

神様を迎える「御旅所」造営

 島田市で8~10日に開かれる3年に1度の「第110回島田大祭・帯まつり」を前に、同市御仮屋町で1日、大井神社の神様を迎える仮の社「御旅所」の造営が行われた。旭町の住民80人が参加し、代々受け継がれてきたくぎを使わない工法で社を組み上げた。

屋根が杉の葉で飾られ、完成が近づく御旅所=島田市御仮屋町
屋根が杉の葉で飾られ、完成が近づく御旅所=島田市御仮屋町
 御旅所は幅約9メートル、高さ約6・5メートル。大工らが数十人で柱や梁(はり)を固定し、屋根に上ると荒縄を使って板を一枚一枚取り付けた。上部には神紋が入った棟飾りを設置し、杉の葉で飾った。2日に飾りの仕上げを行う。みこし渡御が行われる祭り最終日に陣幕などを整え、大祭翌日には解体する。
 島田大祭では大井神社のご神体がかつて大井川の洪水で流され、一時祭られた場所である御旅所に「里帰り」する。旭町祭典委員長の長屋正さん(74)は「御旅所がなければ祭りは始まらない。若い世代に祭りの歴史を伝え、伝統を守っていきたい」と話した。
〈2022.10.02 あなたの静岡新聞〉

島田大祭・帯まつり どんな祭り?

 島田大祭は大井神社のご神体が、かつて大井川の洪水によって流された下島(現在の御仮屋町)へと里帰りする祭り。

大奴に変身した記者(右)と大ベテランの綾部政美さん
大奴に変身した記者(右)と大ベテランの綾部政美さん
 祭りの最終日、みこし渡御行列が大井神社と「御旅所」の約2キロ区間を往復する。ご神体の警護役である大奴(おおやっこ)は、2本の太刀に絢爛(けんらん)豪華な丸帯を下げ、大名行列の花形として注目を集める。大井神社を参拝した花嫁が帯を託して宿場内の披露に代えたという説から、いつしか安産祈願の象徴にもなった。
※2019.10.13 あなたの静岡新聞と2022.07.06 あなたの静岡新聞より抜粋

大名行列「大奴」ら独特な手足の振りを披露

 島田市で10月8~10日に開かれる「第110回島田大祭・帯まつり」に向け、第七街(本通7丁目、祇園町、高砂町)が担当する大名行列の合同練習がこのほど、本通7丁目で始まった。祭りの花形として知られる大奴(おおやっこ)や道具回りの青年が本番までの10日間、練習に汗を流す。

ちょうちんを手にした住民が見守る中行われた大名行列の練習=島田市本通7丁目
ちょうちんを手にした住民が見守る中行われた大名行列の練習=島田市本通7丁目
 みこし渡御の警護役とされる大奴は通常25人で構成するが、ベテランの引退や新型コロナの影響もあり、今回は17人で実施する見通し。練習場所に地元住民が当番制で集まり、ちょうちんで夜道を照らすのが伝統。「選手」と呼ばれる大奴たちは、ほのかな明かりの中で独特な手足の振りを披露しながら歩みを進め、舞を終えると周囲から拍手が湧き起こった。
 大奴を務めるのが12回目というベテランの綾部政美さん(69)は「手の振りは天の恵みを地に下ろし、足はご神体が通る道を清める役目があると言われる。基本の所作をきっちりできるようにして本番を迎えたい」と意気込んだ。
〈2022.09.28 あなたの静岡新聞〉

からくり時計人形 衣装を新調

 島田市中心部の「おび通り」に設置された大奴(おおやっこ)のからくり時計人形の新たな衣装が市商店街連合会(岡田和広会長)から寄贈され、1日、関係者にお披露目された。8~10日の島田大祭・帯まつりに向け、新品の衣装でムードを盛り上げる。

衣装を新調したからくり時計人形が披露され、本物の大奴も登場した式典=島田市のおび通り
衣装を新調したからくり時計人形が披露され、本物の大奴も登場した式典=島田市のおび通り
 式典では岡田会長が染谷絹代市長に目録を手渡し、本物の大奴がサプライズで登場して会場を盛り上げた。岡田会長は「祭りの魅力を伝えるシンボルとして、あらためて多くの市民に知ってもらいたい」と話した。
 からくり時計は1999年11月に設置された。午前10時から午後8時までの1時間ごとに音楽が流れ、大奴の人形が登場する。設置から20年以上が経過し衣装が傷んでいたこともあり、新調が決まった。
〈2022.10.02 あなたの静岡新聞〉
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