TOKAIHD 社長電撃解職なぜ 背景をまとめました
不適切な経費請求があったとして、TOKAIホールディングスの鴇田勝彦代表取締役社長兼最高経営責任者=CEO=(77)が15日、電撃解職されました。11年にわたってトップに君臨し、ガス事業やケーブルテレビ事業を全国規模に拡大した鴇田氏。解職の経緯と鴇田氏の過去の言動をまとめました。
〈キュレーター:編集局未来戦略チーム 楢橋璃歩〉
私的な会食費 交際費として複数回請求した疑い
TOKAIホールディングス(HD)は15日開いた取締役会で、不適切な経費の使用が発覚したとして鴇田勝彦代表取締役社長兼最高経営責任者=CEO=(77)の解職を決議したと発表した。後任に子会社TOKAIの小栗勝男代表取締役社長(63)が同日付で就任した。

同HDによると、鴇田氏は私的な会食費を交際費として複数回請求した疑いが持たれている。弁護士や公認会計士らでつくる外部調査委員会を同日設置し、不適切な請求を行っていた具体的な期間や件数、金額などを精査する。同HDは同日、鴇田氏が取締役を兼務する子会社8社で臨時株主総会を開き、解任手続きを済ませた。
小栗氏は日本大経済学部卒。1982年、ガス事業や住宅リフォームを手掛ける中核子会社のTOKAIに入社し、常務、代表取締役副社長などを経て、2016年4月から現職。親会社のTOKAIHDでは15年6月から、非常勤取締役を務めた。
<2022.09.16 あなたの静岡新聞>
小栗氏は日本大経済学部卒。1982年、ガス事業や住宅リフォームを手掛ける中核子会社のTOKAIに入社し、常務、代表取締役副社長などを経て、2016年4月から現職。親会社のTOKAIHDでは15年6月から、非常勤取締役を務めた。
<2022.09.16 あなたの静岡新聞>
内部通報で発覚 7月から社内調査 曖昧な弁明を繰り返す
不適切な経費請求があったとして、15日に電撃解職されたTOKAIホールディングス(HD)の鴇田勝彦元社長(77)。私的な会食費を経費として請求していたとみられ、内部通報で発覚した。不適切な請求額は最大で数千万円に上る可能性がある。社内調査に鴇田氏は曖昧な弁明を繰り返しているといい、同HDは設置した外部調査委員会で具体的な不正の期間や件数、金額などを精査する。

同HDによると、内部通報は匿名で寄せられ、7月から社内調査に乗り出した。現時点で直近の1年半で、業務と無関係な人との私的な飲食にもかかわらず、その経費が請求された事例を複数確認しているという。ただ同HD経営企画部は「鴇田氏は人脈が広く、どこまでが不適切なのか判別しにくい。(同HDが問題視している会食も)本人は認識が違うのかもしれない」と説明。このため、今後の調査を弁護士や公認会計士らでつくる外部調査委に委ねるとしている。
鴇田氏は旧通産省職員から京都府副知事、中小企業庁長官などを経て、2005年にTOKAI社長に就任。生え抜き人材以外のトップは初めてで、リーダーシップを発揮して11年のホールディングス化を主導した。近年はM&A(企業の合併・買収)を積極的に重ね、主力のガス事業やケーブルテレビ事業の営業範囲を全国規模に拡大した。
解職は直前まで、予想していなかったとみられる。同HDグループの奨学生認定証授与式に登壇した今月12日には、エネルギー価格高騰下での経営戦略についての問いに「同業他社が苦戦している今こそ、事業拡大の好機」と攻めの経営を貫く意欲を示していた。
<2022.09.16 あなたの静岡新聞>
鴇田氏は旧通産省職員から京都府副知事、中小企業庁長官などを経て、2005年にTOKAI社長に就任。生え抜き人材以外のトップは初めてで、リーダーシップを発揮して11年のホールディングス化を主導した。近年はM&A(企業の合併・買収)を積極的に重ね、主力のガス事業やケーブルテレビ事業の営業範囲を全国規模に拡大した。
解職は直前まで、予想していなかったとみられる。同HDグループの奨学生認定証授与式に登壇した今月12日には、エネルギー価格高騰下での経営戦略についての問いに「同業他社が苦戦している今こそ、事業拡大の好機」と攻めの経営を貫く意欲を示していた。
<2022.09.16 あなたの静岡新聞>
積極経営 ホールディングス化を主導した鴇田氏

※2010年11月19日 静岡新聞朝刊から
TOKAIとビック東海は18日、2011年4月1日付で共同持ち株会社を設立し、経営統合すると発表した。グループの持続的成長に向け、機動的で柔軟な組織再編が可能な持ち株会社体制に移行し、親子上場の解消と経営資源の集約、販売組織の効率化を図る。
持ち株会社名は「TOKAIホールディングス」。社長に鴇田勝彦TOKAI会長、副社長に西郷正男TOKAI社長が就任する。TOKAI株1株とビック東海株1株に対し、それぞれ持ち株会社株の1株、2・3株を割り当てる。
静岡市内で会見したTOKAIの鴇田勝彦会長は「2社で計226万の顧客基盤を一元化して販売推進を行い、グループ資産の融合や人材育成など統合の効果を狙う」と強調し、光ファイバーの資産重複解消、物流機能の効率化など合理化を目指すとした。
来年5月にTOKAIホールディングスとしての新中期経営計画を発表する。東海ガスやブケ東海、CATV関連会社など子会社の資本体制は今後検討していく。
TOKAIは東京、名古屋証券取引所1部に、ビック東海はジャスダックにそれぞれ上場しているが、来年3月29日に上場廃止となり、4月1日に持ち株会社が上場する予定。
TOKAIとビック東海は18日、2011年4月1日付で共同持ち株会社を設立し、経営統合すると発表した。グループの持続的成長に向け、機動的で柔軟な組織再編が可能な持ち株会社体制に移行し、親子上場の解消と経営資源の集約、販売組織の効率化を図る。
持ち株会社名は「TOKAIホールディングス」。社長に鴇田勝彦TOKAI会長、副社長に西郷正男TOKAI社長が就任する。TOKAI株1株とビック東海株1株に対し、それぞれ持ち株会社株の1株、2・3株を割り当てる。
静岡市内で会見したTOKAIの鴇田勝彦会長は「2社で計226万の顧客基盤を一元化して販売推進を行い、グループ資産の融合や人材育成など統合の効果を狙う」と強調し、光ファイバーの資産重複解消、物流機能の効率化など合理化を目指すとした。
来年5月にTOKAIホールディングスとしての新中期経営計画を発表する。東海ガスやブケ東海、CATV関連会社など子会社の資本体制は今後検討していく。
TOKAIは東京、名古屋証券取引所1部に、ビック東海はジャスダックにそれぞれ上場しているが、来年3月29日に上場廃止となり、4月1日に持ち株会社が上場する予定。
年頭「寄り添う企業から提案する企業にしたい」と語っていた

※2022年1月18日 あなたの静岡新聞から
―国内外の景況をどう見るか。
「国内は秋ごろから本格回復すると思う。新型コロナのオミクロン株が急拡大しており、早急の対策が不可欠である。一方で、景気回復に向け個人消費の拡大が課題であり、その両立を図ることが重要である。世界経済は米FRBの利上げ時期や11月の中間選挙の結果が影響を及ぼすだろう」
―カーボンニュートラルの取り組みは。
「昨年5月、カーボンニュートラルビジョンを公表した。事業所で使う電気を再生エネルギーに置き換えたり、電気自動車を導入したりするなどしてグループ内の二酸化炭素(CO2)排出量を70%減らす。高効率ガス機器や太陽光発電の設置などで家庭向けガスのCO2排出量も50%削減する。今後もガスの需要はそれなりに残るだろうが、電気や他のエネルギーへと徐々に転換を図る必要がある。と同時に、脱炭素化は企業の成長を促すと捉え、新たなビジネスチャンスを見いだしていく」
―ホールディングス化から10年が過ぎた。成果と今後の展望は。
「業績はこの10年間で売上高12%増、営業利益42%増となった。ここ3年間はいずれも過去最高を更新し、今期も同様の状況にある。だが、社会環境は激変している。このため、昨年5月に策定した中期経営計画では、10年後に目指す姿を『ライフデザイングループ』と定めた。顧客に寄り添う企業から一歩踏み込み、潜在的な要望に先回りして提案する企業へ進化するという意味だ。人口減少で国内世帯数が頭打ちな中、既存事業にとどまっていては成長が見込めない。従前からの方針である事業エリア拡大や企業の合併・買収(M&A)を推進して顧客件数を増やす」
―どんな新事業を手掛けるのか。
「スタートアップ企業に出資し、新技術やアイデアを迅速に取り入れる。特にヘルスケア・医療や教育などの新規事業の発掘を行っている。顧客データを一元管理して人工知能(AI)で分析する当社独自のデジタルマーケティングのシステム「ディーサピエンス」を活用し、生活パターンや行動パターンを予測して適切なタイミングで商品を勧めたり、サービスを展開したりして収益力や生産性の向上を目指す。地域貢献も重要であり、駿府城公園周辺では遊覧船運航やワインフェスタを開催した。今後も地元のにぎわいづくりに力を注ぎたい」
―国内外の景況をどう見るか。
「国内は秋ごろから本格回復すると思う。新型コロナのオミクロン株が急拡大しており、早急の対策が不可欠である。一方で、景気回復に向け個人消費の拡大が課題であり、その両立を図ることが重要である。世界経済は米FRBの利上げ時期や11月の中間選挙の結果が影響を及ぼすだろう」
―カーボンニュートラルの取り組みは。
「昨年5月、カーボンニュートラルビジョンを公表した。事業所で使う電気を再生エネルギーに置き換えたり、電気自動車を導入したりするなどしてグループ内の二酸化炭素(CO2)排出量を70%減らす。高効率ガス機器や太陽光発電の設置などで家庭向けガスのCO2排出量も50%削減する。今後もガスの需要はそれなりに残るだろうが、電気や他のエネルギーへと徐々に転換を図る必要がある。と同時に、脱炭素化は企業の成長を促すと捉え、新たなビジネスチャンスを見いだしていく」
―ホールディングス化から10年が過ぎた。成果と今後の展望は。
「業績はこの10年間で売上高12%増、営業利益42%増となった。ここ3年間はいずれも過去最高を更新し、今期も同様の状況にある。だが、社会環境は激変している。このため、昨年5月に策定した中期経営計画では、10年後に目指す姿を『ライフデザイングループ』と定めた。顧客に寄り添う企業から一歩踏み込み、潜在的な要望に先回りして提案する企業へ進化するという意味だ。人口減少で国内世帯数が頭打ちな中、既存事業にとどまっていては成長が見込めない。従前からの方針である事業エリア拡大や企業の合併・買収(M&A)を推進して顧客件数を増やす」
―どんな新事業を手掛けるのか。
「スタートアップ企業に出資し、新技術やアイデアを迅速に取り入れる。特にヘルスケア・医療や教育などの新規事業の発掘を行っている。顧客データを一元管理して人工知能(AI)で分析する当社独自のデジタルマーケティングのシステム「ディーサピエンス」を活用し、生活パターンや行動パターンを予測して適切なタイミングで商品を勧めたり、サービスを展開したりして収益力や生産性の向上を目指す。地域貢献も重要であり、駿府城公園周辺では遊覧船運航やワインフェスタを開催した。今後も地元のにぎわいづくりに力を注ぎたい」