清水エスパルス⚽J1残留へ前進 リカルド体制の強みとは
サッカーJ1清水エスパルスは第25節、G大阪に2-0で完勝。第24節のFC東京戦でも2-0で完封勝ちを収めたため、今季初の2連勝を果たしました。エスパルスはリカルド監督就任以降、得点力が向上。攻撃がチームの強みになりつつあります。直近の試合を振り返り、チームの立て直しが進むリカルド体制についてまとめます。
〈キュレーター:編集局未来戦略チーム 渡部遥介〉
今季初の2連勝 後半2発で連続完封 第25節G大阪戦
明治安田J1リーグは14日、各地で第25節の4試合が行われ、残留を争う直接対決は、清水が2-0でG大阪を下し、今季初の2連勝を果たした。

清水 6勝9分け10敗(27) 2(0―0 2―0)0 G大阪 5勝7分け12敗(22)
▽得点者【清】コロリ(3)カルリーニョス(2)
■助っ人外国人躍動 12位浮上
G大阪の本拠地で、残留争いをするライバル相手に清水が力強く勝ちどきをあげた。終盤の2得点で2戦連続完封勝ち。負ければ再びJ2自動降格圏に引きずり込まれる大事な一戦で、価値ある今季初の連勝をつかんだ。
輝きを放ったのは、途中から投入された助っ人たちだった。後半28分、ハーフウエーライン付近でパスを受けたFWカルリーニョスが前を向く。後ろからの相手の寄せをはねのけ、推進力のあるドリブルでDF数人を引きつけてラストパス。MFベンジャミン・コロリが突き刺した。
41分にはカルリーニョスにスポットライトが回ってきた。左サイドを抜け出したFWチアゴサンタナから届いたパスを、左足で流し込む。「良い役割を果たせた」と納得顔だ。
現在所属する外国籍選手は8人。メンバー登録の5人の枠を巡り、けがで離脱のMFヘナトアウグストを除く7人がしのぎを削る競争がチーム内にはある。「チャンスをもらったら最善を尽くしたい」とひたむきにプレーするコロリが結果を出す好循環も生まれた。
手応えのある白星を前節に挙げ、「自分たちが変わった姿を示す試合にできれば」(DF立田)と臨んだ一戦。内容は決して会心とは言えないものの、重要な下位直接対決で勝負強さを見せた。暫定ながら12位に浮上。自動降格圏との勝ち点差を5とし、残留に一歩前進した。
〈2022/08/15 あなたの静岡新聞〉
2-0の完勝で降格圏脱出 第24節FC東京戦
明治安田J1リーグは7日、各地で第24節の4試合が行われた。清水はFC東京を2―0で破り、3試合ぶりの白星で勝ち点を24とした。

②味スタ(1勝1敗)▽観衆20577人
清水 5勝9分け10敗(24) 2(0―0 2―0)0 FC東京 10勝5分け9敗(35)
▽得点者【清】カルリーニョス(1)チアゴサンタナ(9)
【評】清水は後半に効果的に得点し、FC東京に完勝した。
ボール保持から試合を優勢に進め、セットプレーやミドルシュートでゴールに迫った。前半39分にCKからFC東京にネットを揺らされたが、オフサイドの判定に救われた。
後半13分に右クロスをカルリーニョスが頭で決めて先制。40分にはチアゴサンタナのヘッドで加点した。FC東京の外国人アタッカーの打開力には手を焼いたが、粘り強く守り切った。
■カルリ先制、サンタナ追加点
2年半ぶりの声出し応援を背にした清水の戦いぶりはたくましかった。上位争いをするFC東京に対し、今季2度目の完封勝ち。ホームで完敗した相手に借りを返し、敵地にサポーターの凱歌(がいか)が響き渡った。
ボールを丁寧につないで主導権を握る戦いを気後れすることなく表現し、試合を優位に進めた。均衡を破ったのは後半13分。右サイドを抜け出した原のクロスに身長174センチのFWカルリーニョスが飛び込む。「状態が良い」という背番号10が跳躍力を生かし、高い打点から頭で先制点をもたらした。
勝負を決定付ける追加点を挙げたのは左クロスをヘッドで沈めたFWチアゴサンタナ。お膳立てしたDF山原との〝ホットライン〟は2試合連続だ。「意思疎通がとれている」と信頼を置く大卒ルーキーとの連係でまたもゴールを破った。
チーム内で新型コロナウイルスの感染が広がった影響を受けた前節鳥栖戦から先発6人を入れ替えた。先発復帰したセンターバックのDF鈴木義は「自分たちの価値を示したかった」と言う。FC東京の強力な攻撃陣を封じ、試合終了のホイッスルが鳴ると力強く両拳を握りしめた。
「試合終了までバランスと集中力を保って試合運びできた」と語るリカルド監督の表情には満足感がのぞく。3試合ぶりの白星で、暫定ながらJ1残留圏の15位に浮上した。
〈2022/08/08 あなたの静岡新聞〉
リカルド体制で何が変わった? 攻撃がチームの強みに
J1清水の得点力が高まっている。24試合を終えて(※8月10日時点)総得点はリーグ7位タイの31だが、リカルド監督就任以降の8試合で16と半分以上を占める向上ぶり。攻撃がチームの強みとなりつつある。

開幕から大黒柱のFWチアゴサンタナを負傷で欠いた今季は、鋭いカウンターがリーグ序盤の武器だった。ただ、6月に就任したリカルド監督は攻撃の構築に独自色を反映。「ボール保持はわれわれの強み」と主導権を握る戦い方にチームを変化させている。
FC東京戦の先制点も最終ラインからパスをつなぎ、右サイドを打開してゴールに結び付けた。センターバックのDF鈴木義は「選手間の流動的な動きが試合を重ねるごとにできつつあるのかなと思う」と積み上げを実感している。
課題としていた残り15分の内容も改善されてきた。開幕から16試合得点を奪えなかった後半30分以降で、現在は4試合連続ゴール中。前々節鳥栖戦は後半36分から2点差を追い付くなど、終盤に挽回する力を見せた。今夏の3選手の補強で攻撃陣の選手層は厚みを増した。途中から勢いを与える切り札の奮起にも期待が集まる。(運動部・市川淳一朗)
〈2022/08/10 あなたの静岡新聞〉
リカルド監督「自信を取り戻す」 就任会見を振り返ります
J1清水は14日(※6月14日)、アイスタ日本平でリカルド新監督の就任記者会見を開いた。リーグ16位と低迷するチームの立て直しが求められるリカルド監督は「私が一つ約束できるのは、全てをささげること」と決意を示した。近年、上位から遠ざかるチームのかじ取りに「重要任務は自信を取り戻すこと」と強調した。

大熊清ゼネラルマネジャー(GM)はリカルド監督招聘(しょうへい)へ具体的に動きだしたのは3連敗を喫した先月の柏戦後と明かし、「日本サッカーへの敬意」が決め手になったと説明した。Jリーグ采配経験のない新監督にチームを託した理由については、課題の強度不足を指摘し、「集団的で、攻守に強度の高いサッカーをやっている。清水が目指す主導権を握るサッカーに通じた」と述べた。
降格枠の変更やコロナ禍などさまざまな変化がある中でクラブ力が問われる今、大熊GMは「越えなければいけない状況にあると認識している。(監督と)ともに戦うという覚悟を持ち、しっかり支えていきたい」と語った。夏の移籍市場についても関心を示しつつ「今の選手を組織として鍛える」とした。
会見に先立ち、リカルド監督は三保グラウンドで初めて全体練習の指揮を執った。ミニゲームなどをこなす選手のプレーをじっくりと見つめ、合間にはボランチの選手を呼んで助言する姿も。新監督からは早速ハードワークやプレー強度が要求されていると言う副主将のMF西沢は「求められる根幹は(前体制と)変わらない。より強調してやりたい」と語った。
〈2022/06/15 あなたの静岡新聞〉