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円形? 真ん中のもやし? 「浜松餃子」そもそもの定義は

 「餃子」。夏になると食べたくなりませんか? 浜松市では8月中、浜松餃子をテーマにした食べ歩きイベントが開かれています。今ではご当地グルメの代表として定着した「浜松餃子」。改めて定義や歴史をまとめました。
 〈キュレーター:編集局未来戦略チーム 石岡美来〉

参加18店「はしごギョーザ」楽しんで 8月、浜松市中心街

 浜松名物「浜松餃子(ギョーザ)」をテーマにした食べ歩きイベント「城下町プロジェクト 夏の餃三昧(ぎょうざんまい)!」が8月1~31日、浜松市中心街で開かれる。新型コロナの影響で厳しい状況が続く中心街の起爆剤に―と、食品・酒類販売などを手掛ける間渕商店(中区、間渕亨夫社長)が企画した。参加18店舗が自慢のギョーザを提供し、「はしご酒」ならぬ「はしごギョーザ」を楽しんでもらう。

8月に初めて開催する食べ歩きイベント「夏の餃三昧」をPRする関係者ら=浜松市役所
8月に初めて開催する食べ歩きイベント「夏の餃三昧」をPRする関係者ら=浜松市役所
 参加するのは、居酒屋やイタリア料理店、中華料理店、イタリアンバルなど。チケットは3枚1セットの1500円で、1枚で各店のギョーザ1皿を提供する。普段よりも割安で楽しめる上、店ごとにドリンクの割引などのサービスもある。
 来年には大河ドラマ「どうする家康」の放映もあるため、中心街を歴史ある浜松城下町の視点で捉えることで、中心街の新たな価値観を発信する狙いも込めた。今後、参加店を増やしたり、テーマを変えたりして第2弾、第3弾の開催も見据えているという。チケットは、電子チケットアプリ「EMot(エモット)」の「はしご餃子チケット」で8月31日まで購入できる。紙ベースでは販売しない。
 27日には関係者らが市役所を訪れ、鈴木康友市長にイベントをPRした。間渕社長は「市民や観光客など多くの人に楽しんでほしい」と話した。
〈2022.7.28 あなたの静岡新聞〉

浜松餃子の定義とは? 浜松餃子学会に聞きました

 浜松餃子のPRに取り組む浜松餃子学会によると、浜松餃子の定義は「浜松市内で製造されていること」と「製造者が3年以上浜松に在籍していること」の2つが条件。円形に並べ、真ん中にもやしを盛り付けるというのは、浜松餃子の特徴の1つで、必ずしも必須の条件ではないという。

浜松餃子
浜松餃子
 日本における餃子文化は、戦後、中国からの復員兵が商売として屋台で餃子を売り始めたことで広まったとされる。中でも浜松は、餃子の具材であるキャベツやタマネギが豊富に作られていて、養豚業も盛んだったという要因が重なったことで、より一層広まったという。
 浜松餃子学会広報の花枝一則さんは「浜松は昔からものづくりが盛んな街で、肉体労働者や共働き家庭が多かった。安く手軽に食べられて、ニンニクも入ったスタミナ食の餃子がたくさん食べられたのでは」と推測した。
 円形に焼かれ、真ん中にもやしが添えられている浜松餃子のスタイルも、だんだんと形作られてきた。戦後、多くが屋台で売られていた焼き餃子。当時は餃子を焼くための道具はフライパンしかなく、多くの客を待たせず、効率よく餃子を焼くのに最も適していたのが円形に並べるという方法だった。そして、餃子を円形に並べるとできてしまう真ん中の穴が見栄えが悪いということで、空間を埋めるために考え付いたのが、当時安価に手にいれることができたもやしだったという。

2007年 市の独自調査で消費量日本一に

浜松餃子を手に“日本一”を宣言する古橋会長(左)=浜松市役所
浜松餃子を手に“日本一”を宣言する古橋会長(左)=浜松市役所
※2007年2月20日 静岡新聞朝刊より 
 ゆでたモヤシを添えるのが特徴の「浜松餃子(ギョーザ)」のPR活動などに取り組んでいる浜松餃子学会(浜松市、古橋佳博会長)は十九日(※2007年2月)、市に依頼した調査の結果、餃子の消費量が全国一だったと発表した。総務省の家計調査では、一世帯当たりの餃子の消費金額は宇都宮市が年間四千七百十円(平成十七年)とトップだが、市の調べで浜松が約四倍の一万九千四百三円だったことが分かった。
  古橋会長は「あくまで市独自の調査だが、日本一との数字が出て自信が持てる。ウナギやフグのように、餃子も観光振興に協力していきたい」と述べ、「富士宮やきそば」や「静岡おでん」に続く、地域グルメ発信の全国ブランド化に手応えを見せた。
  総務省の調査は県庁所在地と政令指定都市が対象で、浜松市では行われていなかった。浜松は、餃子生産量が日本一に間違いないと言われているため、古橋会長が市に「消費量の日本一を証明したい」と、公的な統計調査を要望。市が昨年九月に百六十四世帯(世帯人数六百四十三人)で調べた。手作りや冷凍食品を除いた、持ち帰り餃子など家庭で食べられる餃子を対象に調べた結果、一世帯が年間に餃子に使う金額は一万九千四百三円だった。

 ※浜松市が政令市指定された後の2008年の総務省家計調査で、1世帯あたりの餃子支出額は、1位宇都宮市(4,706円)、2位浜松市(3,665円)という結果だった。2009年、10年も宇都宮市に次ぐ2位で、11年に初めて1位に輝いた。
地域再生大賞