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新型コロナ感染拡大再び いま私たちが取るべき対策は

 静岡県内でも6月末から増加に転じた新型コロナウイルスの感染者数。人の動きが活発になる夏休み、お盆時期を控えて流行の一層の拡大を懸念する声も上がります。いま私たちが重視すべき対策としてひとつ「換気」がクローズアップされています。このページで皆さんと一緒に、効果的な換気について考えてみたいと思います。
 〈キュレーター:編集局未来戦略チーム 松本直之〉

まずは静岡県内の流行状況を確認 7月第3週から急増

全国で急増 専門家「近く20万超えも」

新型コロナウイルスのオミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
新型コロナウイルスのオミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
 国内で7月17日、10万5584人の新型コロナウイルス感染者が報告された。10万人を超えるのは3日連続で、1週間前の2倍近くに増えた。舘田一博東邦大教授(感染症学)は、このまま増え続ければ近いうちに「20万超えになってもおかしくない」と指摘。オミクロン株の新たな派生型「BA・5」による流行第7波の勢いは止まりそうにない様相だ。
 今月に入って感染者が急増した。要因の一つに挙げられるのが、これまで流行した型よりも感染が広がりやすいとみられているBA・5の拡大だ。舘田氏は「一人一人が、人と会う機会を減らすなどの行動変容を起こせば減少につながる可能性がある」とする。
 〈2022.7.17 あなたの静岡新聞〉

世界で「BA・5」主流に 89カ国で確認、5週連続増

 世界で新型コロナウイルスのオミクロン株派生型「BA・5」の感染が急拡大している。世界保健機関(WHO)の13日の発表によると、BA・5は89カ国で確認され、世界で報告された新型コロナウイルスの解析結果のうち50%を占め主流になった。3月以降は減少傾向だった世界の新型コロナ感染者は6月以降、5週連続で増加、今月4~10日の1週間で570万人以上が報告された。

新規感染者が多い国とBA・5の割合
 感染が広がりやすいとされるBA・5への置き換えは日本でも進んでいる。WHOのテドロス事務局長は12日の記者会見で、世界的な再拡大に言及し「新型コロナの終息には程遠い」と警鐘を鳴らした。
 〈2022.7.17 あなたの静岡新聞〉

 現時点に至るまで政府の見解は変わらず「行動制限は今のところ必要ない」。社会経済活動と感染拡大防止の両立を目指す姿勢を示しています。

気密生む暑い夏 家庭や職場「換気」に心掛けて

 政府は7月15日、新型コロナ感染症対策本部を開き、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の一部を改定し、公表しました。政府の新型コロナ対策分科会の議論、緊急提言を踏まえたものです。分科会の緊急提言はワクチン接種の加速化、検査のさらなる活用など5つの対策を柱として示しましたが、ここでは今回特に項目として掲げられた「効率的な換気の提言」について触れます。

 室内の「換気」は、接触感染、飛沫感染に加え第3の感染経路とされる「エアロゾル感染」を防ぐために重要な対策として従来も徹底が呼び掛けられてきましたが、暑い夏を迎えてエアコンの使用が日常化し換気が不十分になりがちであることから今回、特に強調されました。「エアロゾル」とは空気中に浮遊する粒子のことで、「エアロゾル感染」とはウイルスを含むエアロゾルを吸引することで感染することを指しています。
 ポイントとして挙げられたのは大きく次の3点です。
 ①室内の2方向に窓がある場合は、人が集まっていてエアロゾル発生が多そうな場所近くの窓を開け、扇風機やサーキュレーターで排気し、反対側の窓から外の空気を取り込む。
 ②換気扇があれば使用し、反対側の窓から外気が入るようにする。
 ③窓も換気扇もない部屋では、HEPAフィルターなど高性能エアフィルター付きの空気清浄器でエアロゾルを捕集する。
 このほか、換気を阻害しないアクリル板等の配置についても留意点を示しました。
 飛沫を防ぐためのアクリル板を設置する場合は、空気の流れと平行になるように置き、空気のよどみをつくらないよう工夫すべきだと指摘。横の人との距離を1メートル程度確保できる場合には3方向(前と左右)をふさがないように配置することを求めました。

身の回りの基本的な感染対策も再確認を

 緊急提言では次のような対策についても改めて留意するよう呼び掛けがありました。
 ・マスクの着用、感染リスクの高い場面(3密や混雑、大声を出す)を避ける、などができているか再点検を
 ・咽頭痛、咳、発熱などの症状がある者は外出を控えて
 ・会合やイベントなどでは、症状のある者が参加しないよう呼び掛けを

 
地域再生大賞