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いつまで続く物価高 家計への圧迫浮き彫りに

 商品やサービスの値上げが止まりません。値上がりを実感している品目として、ガソリンや電気・ガス、小麦製品が上位に挙がり、今後も商品の値上げに踏み切る企業も少なくありません。今年の夏の賞与予測を含めた物価高に関する静岡県内の話題を1ページにまとめました。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・寺田将人〉

値上がり実感 上位はガソリン、電気・ガス、小麦製品など

 静岡経済研究所が31日発表した物価上昇による県内消費への影響に関する調査で、商品やサービスの値上がりを実感している回答者は約9割に達した。値上がりを実感する品目としては、ガソリン・灯油や電気・ガス料金、小麦製品が上位に挙げられた。1日から、さらなる商品値上げに踏み切る企業も多く、家計を徐々に圧迫している様子が浮き彫りになった。

商品・サービスの値上がり実感
商品・サービスの値上がり実感
 商品やサービスについて「多くが大きく値上がり」とした回答は38・8%で最多。次いで「多くが値上がり」が33・4%、「一部が値上がり」11・4%、「一部が大きく値上がり」6・1%の順だった。一方で「特に感じない」は10・3%にとどまった。
 品目別では、ガソリン・灯油で98・2%が値上がりを実感。電気・ガス料金も90・0%、パンや麺類などの小麦製品は85・0%といずれも高い割合を示した。「(車の燃料費が掛からないように)買い物も近場にしている」「パンが高くなったので、朝食は米にしようか迷っている」などの意見が寄せられ、買い控えや遠出自粛などで出費を極力抑えている実態がうかがえた。
 生鮮品やトイレットペーパーなどの紙製品といった生活必需品の場合、おおむね2割程度までを値上がりの許容限度とする回答が目立った。
 同研究所の清亮介研究員は「所得環境が好転しないのに支出が増え、節約意識が一段と高まりそう。より計画的に、より賢く消費しようというスタンスが鮮明になった」と指摘した。
 調査は4月18~25日、インターネットで県民千人に実施した。
 〈2022.06.01 あなたの静岡新聞〉

電気料金はこの1年で2割以上 ガスも9カ月連続上昇

 世界的なエネルギー資源価格の高騰を背景に、静岡県内でも電気やガス料金が大幅に値上がりしている。中部電力ミライズと東京電力エナジーパートナーはこの1年で、標準家庭の電気料金を2割以上値上げした。静岡ガスのガス料金も9カ月連続で上昇。ウクライナ危機で、電気、ガスともにさらなる高騰が見込まれ、消費者からは悲鳴が聞こえる。電力自由化に伴い新規参入した新電力と契約する県内自治体も打撃を受けている。

電気、ガス料金が値上がりし、コインランドリーも影響を受けている=22日、静岡市駿河区
電気、ガス料金が値上がりし、コインランドリーも影響を受けている=22日、静岡市駿河区
 「請求書を見て目を疑った」。静岡市葵区の主婦(41)は3月の電気、ガス代が計4万円を超えた。前年同月は2万円台で、請求が間違っていないか計算して確かめたという。
 同市駿河区のコインランドリー「ル・トン・クレール」は、経費の約4割を光熱費が占める。昨秋、より低額な電力会社に切り替え電気代を抑えた。ただ電力各社が値上げする中、いつまで効果が持続するか気をもむ。契約するガス会社からも年内の値上げを通知された。経営する望月高宏さん(50)は「店舗の料金見直しは時間の問題」と申し訳なさそうに語る。
 
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 中電ミライズによると、標準家庭の電気代は昨年4月6310円だったが、今年4月は8076円に跳ね上がった。ウクライナ危機でさらなる上昇の懸念があり、担当者は「動向を注視する」と語る。
 掛川市などが出資した新電力会社「かけがわ報徳パワー」は2021年4月、市役所など市内73カ所の公共施設に電気の供給を始めた。ところが、同年秋頃から、電気を調達している電力の市場が高騰。電気料金に転嫁した結果、市は同年度5千万円増額する事態になった。
 同社取締役で市環境政策課長の松永真也さんは「エネルギーを地産地消し地域循環型社会をつくるのが会社の理念。いきなり荒波にのまれた格好だが、耐えて目的を実現したい」と語る。
 静岡ガスによると、21年4月の標準家庭のガス料金は6331円だったが、今年4月は1143円上がり7474円。電気料金と同じく、LNGやプロパンなど原料費が上昇している。

 ■世界的需給安定に数年
 三菱総研イノベーションサービス開発本部の芝剛史副本部長の話 電気やガス料金が高くなっているのは、国際商品市況の価格が世界的に上昇し原油や液化天然ガス(LNG)など輸入する資源価格が高騰しているのが背景。足元のLNG輸入価格は上がり続けていて、電気、ガス料金はこれから少なくとも半年は上昇傾向が続くだろう。ウクライナ危機を受け、欧州はロシア産天然ガスの輸入量を2030年度までに段階的にゼロにする計画を発表した。不足分は米国やアジアから調達することになり、日本も影響を受ける。世界的な需給構造が安定するには数年はかかるとみられる。
 〈2022.04.24 あなたの静岡新聞〉

夏のボーナスは微増予想も 物価高で増額感乏しく

 静岡経済研究所が25日発表した県内民間企業の2022年夏のボーナス予想は、1人当たりの支給額が前年比0・8%増の38万300円と試算した。新型コロナウイルス禍の影響を受けた生産活動が持ち直しつつあるものの、原材料価格の高騰やサプライチェーン(供給網)の混乱が企業収益の押し下げ要因になり、微増にとどまると見込んだ。

 昨夏は当初マイナス予想だったが、その後に0・1%増に修正したため、3年連続増加となる。ただ担当者は「各企業は人材確保のためにも支給額を上げざるを得ないだろうが、増額率が物価上昇率に届かない恐れがある。増えた感覚が乏しいボーナスかもしれない」と指摘した。
 規模別では、従業員30人以上の企業が44万4400円(0・9%増)、29人以下は26万6600円(0・5%増)。支給総額は1・4%増の4573億円、支給対象者数は120万2千人と見積もった。
 県内上場企業の業績は回復傾向にあるが、小規模事業所は本格回復に至っていないと判断した。今年の春闘で多くの企業が賃上げしたプラス要素と、足元の原材料高騰による収益環境悪化などのマイナス要因を加味した。
 調査は法人企業統計や有効求人倍率、鉱工業生産指数などボーナス支給額と相関が高いデータを基に、統計的に算出した。
 〈2022.05.26 あなたの静岡新聞〉