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大型連休の前後 新型コロナ感染状況は?

 大型連休を境に、静岡県内の新型コロナウイルス感染者数は増加傾向にあります。重症者数や死者数、病床使用率について、連休が始まった週頭4月25日(月)から、連休明けの週終わり5月13日(金)までのデータをまとめました。ワクチン接種率の現状についてもお知らせします。 
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・鈴木美晴〉

新規感染者は増 重症者は1日あたり0~1人

 最大10連休のゴールデンウイーク(GW)は4月29日に始まった。感染者数が減少傾向だったため、3年ぶりに緊急事態宣言などの移動制限が全国的に出されていない中での連休となった。静岡県内でも4月以降、新規感染者数は緩やかに減少していた。しかし大型連休を境に、潮目が変化。5月2日に303人となって以降、3日に544人、8日に922人と山が2つでき、12日には1242人となった。

新型コロナウイルス・オミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
新型コロナウイルス・オミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
 ただ、重症者数や死者数は現状では増えてはいない。大型連休が始まった週頭の4月25日(月)~連休が明けた週終わりの5月13日(金)、重症者は4月25日、26日に各1人ずつ。その他の日はゼロだった。死者は4月25日、26日、29日、5月3日、5月7日に各1人、4月27日に2人だった。
 

若者や働き盛り「積極的な追加接種を」 知事呼び掛け

 静岡県の川勝平太知事は12日の定例記者会見で、新型コロナウイルス新規感染者が大型連休を境に増加に転じた状況を踏まえ、特に感染が急拡大している若者や働き盛りに向けて積極的なワクチンの追加接種を呼び掛けた。

静岡県庁
静岡県庁
 県によると、県内の直近1週間の新規感染者は40代以下が全体の8割を占めた。一方、この年代のワクチン3回目接種率は他世代に比べ低調で、5割に達していない。
 知事は「接種率の低さと感染率の高さは相関している」と指摘。13日から沼津市のプラサヴェルデと掛川市の掛川B&G海洋センターで大規模接種会場を開設するとし、「ぜひ利用を」と述べた。
〈2022.05.13 あなたの静岡新聞〉
 

ワクチン接種率 現状は?

米ファイザー製の5~11歳用の新型コロナウイルスワクチン(同社提供)
米ファイザー製の5~11歳用の新型コロナウイルスワクチン(同社提供)
■静岡県内の3回目接種状況
全年代    55・1%
65歳以上  88・4%
60~64歳 79・1%
50代    68・4%
40代    46・1%
30代    36・4%
20代    34・3%
18・19歳 30・1%
12~17歳 11・8%
(※5月9日時点の数字)

■静岡県内の2回目までの接種状況
全年代
1回目接種 295万9378人(80・28%)
2回目接種 293万2481人(79・55%)

高齢者
1回目接種 103万883人 (94・00%)
2回目接種 102万8298人(93・76%)

64歳以下
1回目接種 192万8495人(74・47%)
2回目接種 190万4183人(73・53%)
(1~2回目は5月8日現在の数字)
※いずれも静岡県庁のデータより作成

出口戦略の鍵 ワクチンと国産飲み薬

 新型コロナウイルスの出口戦略でワクチンとともに挙がるのが国産の飲み薬だ。安定供給により早期治療体制が整えば、コロナは季節性インフルエンザと同じように一般医療で対応できる。感染症法上の取り扱いを、病院や保健所の負担の原因になっている2類相当から5類に引き下げる現実味が増す。

専門家も意見が割れる新型コロナの法律上の取り扱い。田島靖久医師は「政治がリーダーシップを」と指摘する=15日、浜松市内
専門家も意見が割れる新型コロナの法律上の取り扱い。田島靖久医師は「政治がリーダーシップを」と指摘する=15日、浜松市内
 浜松医療センター(浜松市中区)は塩野義製薬が進める国内メーカー初のコロナ用飲み薬の臨床試験(治験)に参加した。
 「ずっと危機感があった」。感染症内科部長の田島靖久医師(43)は感染流行のたびに看護師が疲弊する姿に、いち早く状況を打開する必要性を感じていた。第5波の混乱を経て「鍵は国産薬」との認識を深めた昨年9月、塩野義の開発話を知り、すぐに手を挙げた。
 現在までに依頼を超える症例を集め、同社に報告したという。薬事承認されれば「社会を回す一歩を踏み出せる」。5類に向けたビジョンは明快だ。
 5類指定はその時期を巡ってさまざまな意見がある。静岡市立静岡病院感染管理室長の岩井一也医師(56)はオミクロン株の死亡率はインフルエンザ並みと指摘。「特別扱いするほどかかってはいけない意識が強まり、差別を生む。社会的な弊害が大きい」と速やかな変更を主張する。浜松市の矢野邦夫感染症対策調整監も5類賛成をメディアで発信した。
 5類にすると高額な医療費の一部が自己負担になり、受診控えが起きるとの声は少なくない。県健康福祉部の後藤幹生参事は「公費で負担する治療薬を指定するなど柔軟に整理すればいいのでは」と提案する。
 一方で毒性の強い新たな変異株の登場を懸念した緩和慎重論もくすぶる。
 未知の感染症と向き合ってきた専門医や行政職がそれぞれの経験から描く、日常回復への道筋。岸田文雄首相は将来的な見直しを視野に入れつつ、現時点で具体的な展望に踏み込んでいない。政治はコロナ禍の先を示さずにいる。
 田島医師は「検査、ワクチン、治療薬。対策のステップは感染初期からはっきりしていた」と話し、こう続けた。「ゴールまでの時間を設定し、『みんなで乗り越えよう』と呼び掛けるだけで国民の心持ちは違う。主体性を持って導いてほしい」
〈2022.04.21 あなたの静岡新聞「第7波」への備え㊦〉