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47都道府県に寺子屋を 広がれ学びの場

 子どもたちの自学自習を支援する大学生らのNPO法人「Cafe de(カフェ・デ)寺子屋」(藤枝市)が、47都道府県全てに寺子屋を作ろうとしています。同NPOは子どもが自発的に学べる場を提供しようと、無料で学習のサポートをしています。活動の様子や大学生の思いを1ページにまとめます。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・安達美佑〉

カフェで学習支援 学生ら運営NPO、CFで資金募る

 小中学生らが自学自習できる無料の「寺子屋」をカフェに設け、学習を支援している大学生らのNPO法人「Cafe de(カフェ・デ)寺子屋」(藤枝市)は6月30日まで、47都道府県全てに寺子屋を作ろうと、クラウドファンディング(CF)で資金を募っている。

子どもの学習を見守る大石さん(右)=静岡市葵区の寺子屋「寺子屋べーす」
子どもの学習を見守る大石さん(右)=静岡市葵区の寺子屋「寺子屋べーす」
 同NPOは子どもたちが自発的に学べる場を提供しようと、県内や山梨県で活動をスタート。主に、夕方などに閉店したカフェを寺子屋スペースとして無償で借り、学生スタッフが子どもの学習をサポートしている。焼津、浜松、静岡、藤枝市の計4カ所をはじめ、県外の大学生とも連携し、現在は7都県13カ所で寺子屋を運営している。
 寄付金の目標額は200万円。寺子屋確保のための活動費や学生スタッフの研修費、同NPOの認知度を高める広報活動などに充てる予定。返礼品として学生スタッフからお礼の手紙を送付する。
 静岡市葵区の「寺子屋べーす」など各地で活動を展開する同NPO設立者の東大大学院生大石紗矢香さん(24)は「寺子屋を起点に、自由に学べる環境を家庭内から社会全体へと広げ、より良い社会を作りたい」と協力を呼び掛けている。
 寄付金はCF専用サイト「キャンプファイヤー」で受け付ける。
〈2022.5.12 あなたの静岡新聞〉

「自発的に自由に学べる場を」 団体設立者・大石さんの思い

大石紗矢香氏
大石紗矢香氏
 ※2020年6月28日 静岡新聞朝刊から
 静岡県内や山梨県を中心に各地のカフェで無料の寺子屋を開き、子どもの“自由な学び”を支援する学生団体「Cafe de(カフェ・デ)寺子屋」を4月に設立。活動に懸ける思いや今後のビジョンを聞いた。

  -団体設立のきっかけは。
 「大学生になってからの経験が大きい。授業に来なかったり、教授の話を聞いていなかったりする学生を見て『なんのために大学に来ているのか』と疑問を持っていた。また、アルバイトをしていた学習塾でも、成績や周囲の意見にとらわれて勉強をやらされている子どもが多かった。本来、学びとは自由なことであるはず。学校や塾などの既存の教育環境ではそれが実現できていないと思い、子どもが自発的に自由に学べる場を作りたいと団体を設立した」
 -開講に向けた準備はどのくらい進んでいるか。
 「静岡、山梨を中心に、教育に対する課題を感じている学生が多く集まった。県内では静岡大や県立大、東海大清水キャンパス、日大三島キャンパスの学生が所属し、東京や京都、名古屋にもメンバーがいる。同じ思いを持って動いてくれる人がいたことがうれしい。それぞれの地域で拠点作りを進め、協力してくれるカフェも増えている。新型コロナウイルスの影響で活動は始められていなかったが、7月中の開講を目指している」
 -地域のつながりを作る場としての期待も。
 「教えるのは年の近い大学生。子どもたちは先輩後輩のような親近感を持ってくれると思う。また、学生と子どもがつながるだけでなく、学生と子どもの親、カフェの店員などがお互いをわかり合うことも重要だと考えている。最近は隣近所に誰が住んでいるか知らない人も多い。寺子屋が地域のつながりとしての役目も果たし、安心して暮らせる街が増えていくことを願う」
 -今後のビジョンは。
 「団体を8月にNPO法人にする予定。今いるメンバーの所在地で基盤を作り、2022年3月までに47都道府県全てに寺子屋を開設したい。寺子屋で育った子どもたちが将来家庭を持ち、好きなことを自由に学べる環境を家庭内で作る。それが社会全体へと広がることで最終的に私たちが必要なくなるのが理想」
 おおいし・さやか 東京大大学院在学中。光や溶液などで野菜を育てる「植物工場」の培地改良に取り組む。静岡大農学部卒。藤枝市出身。22歳。
 ※表記、年齢、肩書などは当時のまま

焼津の寺子屋 地域の男性が取り組みに共感、喫茶店開放

 静岡県内のカフェで無料の寺子屋を開き、子どもたちの学びを支援する学生団体「Cafe de(カフェ・デ)寺子屋」が(2020年7月)24日、焼津市内の喫茶店で初めての活動に取り組んだ。静岡大や県立大の学生が地元の児童ら9人に学習の手ほどきをした。

閉店後の喫茶店で学生と一緒に勉強に取り組む児童=焼津市内
閉店後の喫茶店で学生と一緒に勉強に取り組む児童=焼津市内
 学校の成績や周囲の意見だけにとらわれず、自ら学ぶ機会を大切にしてほしい-。学生たちは寺子屋にそんな思いを込めた。地域で子どもの見守り活動を行う男性(64)が団体の取り組みに共感し、家族が経営する喫茶店を営業時間終了後、寺子屋スペースとして開放した。
 児童らは持参した漢字ドリルや計算プリント、魚図鑑などで自習を進めた。つまずいた子どもがいると、学生たちがヒントを与えて解決に導いた。学生は学習を終えた子どもと折り紙やスケッチを楽しむなど、幅広い学びをサポートした。
 静岡大2年の稲垣麻衣さん(20)は「寺子屋を子どもたちが安心できる居場所にしていきたい」と話した。同団体は今後、静岡市や浜松市などでも順次寺子屋を開く予定。問い合わせは同団体のメール<info@cafe-de-terakoya.jp>へ。
〈2020.7.26 静岡新聞朝刊〉