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ありがとうグリル 書道パフォーマンスのアシカ天国へ

 沼津市の伊豆・三津シーパラダイスで書道パフォーマンスをするアシカとして人気を集めた「グリル」(雌、22歳)が3月下旬に天国へ旅立ちました。約20年にわたって続けた新年の書き初めや新元号、今年の漢字などを披露し、来園者を魅了してきました。追悼の思いを込め、グリルの活躍を振り返ります。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・吉田直人〉

書道パフォーマンスで人気 20年間披露

 沼津市内浦長浜の伊豆・三津シーパラダイスで、書道パフォーマンスで人気を集めていたカリフォルニアアシカのグリル(雌、22歳)が5日までに死んだ。長年、来園者に親しまれていただけに別れを惜しむ声が上がっている。

書道アシカとして人気を集めた「グリル」。新元号発表時はいち早く書き取った=沼津市内浦長浜の伊豆・三津シーパラダイス
書道アシカとして人気を集めた「グリル」。新元号発表時はいち早く書き取った=沼津市内浦長浜の伊豆・三津シーパラダイス
 死んだのは3月28日。死因は調査中で、2月から食欲不振になりショーを休んでいたという。29日から4月3日まで献花台を設け、花束やメッセージカード、フェルト作品などが届けられた。交流サイト(SNS)には「グリル先生に会えないのが寂しい」「すてきな思い出をありがとう」などと多くのメッセージが寄せられている。
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献花台に届けられたメッセージカードやフェルト作品=沼津市内浦長浜の伊豆・三津シーパラダイス

 グリルは1歳だった2000年に別の動物園からやってきた。約20年にわたって書道を披露し続け、新元号発表時にはいち早く「令和」の文字を書き取り、話題を集めた。土屋考司飼育長(46)は同園に来たばかりのグリルとショーを担当し、書道を一緒に練習したという。「最初はやんちゃで筆を投げ出してしまうこともあった。スターとして活躍する姿が誇らしかった。グリルに教えてもらったことが多くある」と振り返った。
〈2022.04.06 あなたの静岡新聞〉

毎年恒例の書き初め 最後は「寅」

 沼津市内浦長浜の伊豆・三津シーパラダイスで3日まで、カリフォルニアアシカのグリル(雌、22歳)が書道パフォーマンスで観衆を魅了している。

「寅」の字を筆で書き上げたカリフォルニアアシカのグリル=沼津市内浦長浜の伊豆・三津シーパラダイス
「寅」の字を筆で書き上げたカリフォルニアアシカのグリル=沼津市内浦長浜の伊豆・三津シーパラダイス
 1日3回のショーで書き初めを披露する。筆を口にくわえ、飼育員と息を合わせて今年の干支(えと)の「寅(とら)」の文字を縦109センチ、横78センチの用紙に書き上げた。朱肉を鼻につけて印を押すと、満員の観客から拍手が沸き起こった。
 完成作品は来場者に贈った。入手した浜松市東区の大倉橙和君(9)は「口に筆をくわえて書くだけでも大変なのに上手だった。アシカの能力はすごい」と笑顔で話した。
〈2022.01.02 あなたの静岡新聞〉

2016年からは「合格カード」 受験生を応援

 沼津市内浦長浜の伊豆三津シーパラダイスで、アシカが口にくわえた筆で書いた合格祈願の「合格カード」が人気を集めている。同施設は受験生の応援になればと無料配布し、受験生や家族が持ち帰っている。

筆をくわえるグリル(右)と書と合格カードを持つ山本さん=沼津市の伊豆三津シーパラダイス
筆をくわえるグリル(右)と書と合格カードを持つ山本さん=沼津市の伊豆三津シーパラダイス
 アシカが筆で「合格」と書いた横52センチ、縦73センチの紙を名刺サイズの紙にプリントしたカード。書をしたためたのはカリフォルニアアシカのグリル(雌、17歳)で、子どものころから練習を重ね、10年以上、書道パフォーマンスを来館者の前で披露している。「合格」の2文字は1週間ほど特訓を積んで習得した。
 グリルの書道をサポートしている飼育員の山本真祐子さんは「日頃の努力は形になる。受験生もこのお守りを持って諦めずに頑張ってほしい」と話した。
 カードは3月31日まで、同施設内で配っている。
〈2016.02.17 静岡新聞朝刊〉

飼育係の白倉さん 新元号の書き取りを指導

 沼津市の伊豆・三津シーパラダイスの飼育係。カリフォルニアアシカのグリルが毛筆で書道をする「アシカの書道」をステージ上で率い、4月1日に発表された新元号「令和」の書き取りを披露して話題を呼んだ。大阪府出身。25歳。

白倉美紗希さん
白倉美紗希さん
 -普段の仕事内容は。
 「9人いるショーを担当するチームに所属し、出演するイルカやアシカ、トドの給餌やトレーニングなどを行っている。動物の健康管理も大切な仕事」
 -アシカの書道とは。
 「T字型をした特製の毛筆を口にくわえ、B2版の画用紙に漢字の書き取りを披露するショー。時節に合わせ、その年の干支(えと)や『合格』などを書いている。5頭いるアシカの中でもグリルしかできない」
 -難しさは。
 「画数が多い漢字や2文字書く際のバランスが難しい。『令和』は斜めに入る1画目に最初は迷っていた様子だった。グリルが書きやすい姿勢を保てるよう、ショーの最中に紙との距離を調整することもある」
 -反響と今後の抱負は。
 「ショーを目当てにした来園者が増え、園内で話し掛けてもらえる機会もある。グリルをきっかけに動物の魅力を知ってもらうことができたらうれしい」
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 ペット禁止だった実家が突然ハリネズミを飼いだしたのが最近の驚き。
〈2019.05.17 静岡新聞朝刊〉
地域再生大賞