静岡まつり　３年ぶりに大御所花見行列復活

　静岡市の春の風物詩「静岡まつり」が４月１日の「前夜まつり」などで開幕し、３日まで市中心部で開かれる。新型コロナウイルスの影響で２０２０年は中止、２１年は規模を縮小したが、まつり実行委員会は今春、３年ぶりにメインイベントの「大御所花見行列」を復活させ、目抜き通りでの市民の踊り「夜桜乱舞」もほぼ元の形での挙行に踏み切る。感染防止とにぎわいの両立を目指し、ウイズコロナ時代のイベントに臨む。
　開催まで約２週間に迫った３月中旬。「どこに並べようか」。実行委メンバーらがＪＲ静岡駅北口地下広場しずチカで、ポスター貼りや祭りグッズの展示作業を進めた。本格開催に向け、ＰＲも熱が入る。

　■賛否両論
　静岡まつりは「駿府で徳川家康公が家臣を連れて花見をした」という故事にならい、１９５７（昭和３２）年に始まった。江戸時代を模した行列や演武、市民総踊りなど多彩な催しを繰り広げ、周辺には出店が立ち並ぶ。コロナ前は例年延べ５０万人以上が訪れた。久保田隆実行委員長（６７）は「伝統の継承や市民を元気づける意味で、どんな形でもやりたかった」と話す。
　昨年は規模を縮小した上で対策を講じ、２９万人が来場した。実行委の委員から「縮小するならやらなくていい」との意見があった一方、参加者から「今年こそはフル開催を」と期待の声も寄せられた。コロナ禍でも一定の来場があり、クラスター（感染者集団）も発生しなかった昨年の実績から、コロナ前とほぼ同じアトラクションの実施を決めた。

　■歓声は拍手で
　感染防止に向け、来場者、出演者、スタッフ、出店者のそれぞれにガイドラインを作成し、パンフレットにも提示した。マスク着用、体調不良者の参加禁止などは大前提。イベント会場では体温測定と来場人数制限、沿道は係員がプラカードを提げて「大声を出さない」「歓声は拍手で」と呼び掛ける。
　大御所（徳川家康）役を俳優の鈴木福さんと保阪尚希さんが務める「大御所花見行列」は行列参加者を県内在住者に限定して募り、例年の半分の２００人弱に絞った。当日は列の間隔を空けて密を作らないよう徹底する。多くの人に楽しんでもらうためインターネットの生中継を試みる。
　市役所前の「御幸通り」（葵区）での市民総踊りは千人近い参加を見込む。例年の約４千人には及ばないが、３年ぶりに周辺を交通規制し、踊りのひのき舞台を用意する。
　〈2022.3.26　あなたの静岡新聞〉