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浜松市のごみ有料化 賛成? 反対?

 浜松市で家庭ごみの有料化を巡って議論が続いています。全国の政令市や静岡県内の自治体のおよそ半数が有料化を導入していますが、浜松市では反対意見が根強くあります。有料化を巡る課題や反対意見の背景はどのようなもでしょう。有料化方針を転換させた袋井市のケースもご紹介し、有料化以外のごみ減量の方策についても考えてみたいと思います。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・吉田直人〉

有料化は「有効な施策の一つ」 答申案を了承

 浜松市環境審議会(会長・田中浩之横浜創英大教授)は8日(※2021年10月)、中区で会合を開き、同審議会ごみ減量推進部会が家庭ごみ有料化(指定ごみ袋価格へのごみ処理手数料上乗せ)の検討結果として「ごみ減量に有効な施策の一つ」とした答申案を了承した。田中会長は12日、鈴木康友市長に答申書を提出する。

家庭ごみ有料化を「有効な施策」とする答申書を鈴木康友浜松市長に手渡す田中浩之会長(右)=12日午前、同市役所
家庭ごみ有料化を「有効な施策」とする答申書を鈴木康友浜松市長に手渡す田中浩之会長(右)=12日午前、同市役所
 一方、有料化に対しては市民グループが反対市民4550人分の署名を提出。市は「答申を受けても即決定ではない。市民の意見を聞く機会を設け、有料化の可否を慎重に検討する」としている。
 答申案をまとめた同部会は昨年9月からの検討を踏まえ7日、「環境負荷低減に向けてごみ減量に取り組む中、家庭ごみ有料化は有効な施策の一つ」と結論付けた。有料化を導入した政令指定都市9市で減量効果が出ていることを理由とした。
 有料化する場合は「ごみ減量のため必要な取り組みであることを市民に十分説明すること」「手数料は市民への負担などを考慮すること」なども求めた。
 審議会では委員から質問や意見はなく原案通り決定した。決定後には複数の委員が「(有料化が)長期的に見て市民にいい影響をもたらすことを示して」「有料化以外にもごみ減量に有効な手段があれば検討するべき」などと注文を付けた。
〈2021.10.09 あなたの静岡新聞〉

 ■「地球環境にとって重要」 市長に答申書提出
  浜松市環境審議会の田中浩之会長は12日(※2021年10月)、鈴木康友市長から昨年7月に諮問を受けた家庭ごみ有料化(指定ごみ袋価格へのごみ処理手数料上乗せ)について、「ごみ減量に有効な施策の一つ」とする答申を行った。
 市役所で鈴木市長に答申書を手渡した田中会長は「ごみ減量は地球規模の環境問題と関連する重要テーマ」と述べ、最大限の努力で取り組むよう求めた。鈴木市長は「有料化は他の自治体でも有効性が証明されている。答申で指摘された事項をしっかりと考慮し、検討する」と答えた。
 市によると、有料化を導入した政令指定都市全9市で実施前と比べて12・9~38・0%のごみ減量効果が確認されている。答申では「市民の意識変化につながった」と強調する一方、「市民生活に大きな影響を与える」とも指摘。有料化実施の場合には、ごみ減量に必要な取り組みであると十分に説明することなどを市に要請した。
 家庭ごみ有料化は県内では掛川、御殿場、湖西など18市町が既に導入している。
〈2021.10.12 あなたの静岡新聞〉

なぜ必要か 市は明確な説明を 記者コラム【風紋】

 浜松市環境審議会は、鈴木康友市長から諮問を受けていた家庭ごみ有料化について「ごみ減量に有効な施策」と答申した。市は今後も市民に意見を聞き、有料化の可否を判断する。コロナ禍で家計が厳しい世帯もある中で今なぜ必要なのか、明確な説明が求められる。

 「政令指定都市の平均を上回る量のごみが出ています」。市広報紙6月号に掲載した有料化検討の特集記事で、市はごみ減量を喫緊の課題と強調した。2014~19年度の市民一人1日当たりの家庭ごみ排出量は487~499グラムで、各年とも20政令市平均を上回る。
 市は18~20年度、自治会と協力し「ごみ減量天下取り大作戦」を展開。生ごみの水分を絞り、雑紙を分別するなどの減量を促したが、ごみ排出量は横ばいだった。なぜ取り組みが浸透しなかったのか、説明が不可欠だ。
 19年度の市ごみ処理経費は59億5千万円で、市民1人当たり7400円に上る。鈴木市長は「ごみ減量化で税金が節約できれば、福祉や教育などに使える」と期待する。
 一方、「既に有料で指定ごみ袋を買っている。なぜ、さらにごみ代を課せられるのか」との意見も市に寄せられた。ごく一般的な疑問だろう。
 市内では10、20、30、45リットルの指定ごみ袋が1枚当たり4~10円程度の価格で販売されている。これは各メーカーが設定した袋代で、有料化されれば袋代にごみ処理手数料が上乗せされる。市民が出したごみの量に応じて処理手数料を負担する受益者負担の形だ。
 同審議会ごみ減量推進部会は有料化する場合、袋代を含め「1リットル当たり1円以下が適当」と判断。45リットル袋は1枚最大45円に値上がりする。市のアンケートでは3~4人世帯の場合、燃えるごみに45リットル袋を月平均9枚ほど使う。単純計算で年間3780円負担が増える。
 有料化で市民にごみ減量の意識が働くほど、負担も軽減される仕組みだ。市はそういった目的を市民に説明し、意見も聞く場を設けてほしい。
〈2021.11.03 あなたの静岡新聞〉

反対署名4550人 浜松市「答申後も声聞く」

 浜松市の市民グループ「家庭ごみ有料化を考える会」は22日、市が導入を検討する家庭ごみ有料化に反対する市民4550人の署名を鈴木康友市長宛てに提出した。市は有料化を諮問した市環境審議会から10月に答申を受けた後も「十分に検討するため市民の意見を聞く機会を設ける」との方針を説明した。

公開質問状に対して回答を述べる浜松市の担当者(奥の5人)=同市中区の市鴨江分庁舎
公開質問状に対して回答を述べる浜松市の担当者(奥の5人)=同市中区の市鴨江分庁舎
 同会は有料化検討について「市民への説明が不十分」だとして15日、市に公開質問状を提出。22日は中区の市鴨江分庁舎で署名提出後、市の担当者から回答書の説明を受けた。
 市側はこれまで、市広報紙への特集掲載や各区自治会連合会との意見交換、各自治会の環境美化推進員への説明などで周知に努めたと説明。同会が懸念する不法投棄増加や分別意識の低下については「有料化の実施にかかわらず不法投棄対策には取り組んでいる」「有料化の先行都市では資源物を対象外とすることで分別が促進され、ごみ減量の効果が表れている」と答えた。
〈2021.09.23 あなたの静岡新聞〉
※2021年12月16日に追加署名が提出され、署名は計7192人分になりました。

 ■浜松市 検討状況、動画で紹介 説明会も開催
  浜松市は5日から、同市のごみ処理の現状や家庭ごみ有料化の検討状況についてまとめた動画2本を市ホームページで公開する。市内8カ所で説明会も開き、オンラインと会場で市民の意見を募る。
 動画の「わたしがやらなきゃごみ減量~SDGsへのスタート」は、地球環境の保全や最終処分場の長期使用といったごみ排出を抑制すべき理由、家庭でできる取り組みを分かりやすくまとめた。「浜松市の家庭ごみ有料化の検討状況について」は、市環境審議会の議論などを紹介する内容。説明会は動画を会場で上映し、参加者が用紙に意見を書いて提出する仕組み。
 同市の家庭ごみ排出量は近年、横ばい傾向。同審議会は昨年10月、家庭ごみ有料化(指定ごみ袋価格へのごみ処理手数料上乗せ)について、「有効な施策の一つ」などとする答申を鈴木康友市長に提出済みで、市が可否を検討している。
 説明会の日程は次の通り(かっこ内に時間表記のない会場は午前10時半から)。
 雄踏文化センター(5日)市総合産業展示館(6日)クリエート浜松(10日午後7時半)なゆた・浜北(12日)みをつくし文化センター(13日午後2時半)龍山森林文化会館(19日)市勤労会館Uホール(20日)天竜壬生ホール(27日)
〈2022.02.03 あなたの静岡新聞〉

【袋井市の例】有料化方針を転換 8年間で30%減目指す取り組み開始

 袋井市は4月から、8年間で家庭系可燃ごみの排出量を30%減らす「ふくろいごみ30(さんまる)運動」を開始する。2024年度までに15%削減の中間目標を設定し、市民や事業所に分別、リサイクルなどの徹底を求める。ごみ処理量の限界が近づく中、減量化を市民運動として定着させる狙いで、目標達成には市民の理解が欠かせない。

ごみ処理量が限界に近づいている中遠クリーンセンター=3月中旬、袋井市岡崎
ごみ処理量が限界に近づいている中遠クリーンセンター=3月中旬、袋井市岡崎
 「あらゆる場面で協力をお願いし、一丸で取り組みたい」。2日の市議会2月定例会。大場規之市長がごみの減量へ決意表明した。市は22年度一般会計当初予算案に雑紙、草木、古布の回収事業費3200万円を計上。ごみの排出量を減らすための環境を整える。
 ごみの減量は脱炭素化などの課題解決を目的とした取り組みで、18年から庁内で協議を重ねた。当初はごみ処理を有料化し、ごみ袋の値上げで賄う予定だったが、一部の市民や議会から再考を求める声が上がり、方針転換した。
 具体的な行動計画として容器や包装、プラスチックの分別徹底、雑紙の回収などを推進する。24年度末に1人につき1日あたり可燃ごみの排出量を452グラムまで、30年度には372グラムまでの減量を目指す。期間中はごみ処理の推移をホームページなどで公開する。
 積極的な取り組みの背景には中遠クリーンセンターの年間処理量が限界に近づいている事情がある。19年度に処理量が3万2930トンを記録するなど、同施設の限界量3万4千トンに切迫している。市ごみ減量推進課によると、対策を講じなかった場合、2~3年で限界量を超えると想定されるという。処理費も増加傾向で、費用圧縮も課題になっている。
 市は運動の開始を前に、説明会を開くなど住民への周知に努める。参加者からは協力的な意見が寄せられているといい、実際にごみ処理の有料化見送りを決めた昨年10月ごろから1月までの排出量は16~20年度の同時期と比べて減少している。
 同課担当者は中期目標を「簡単ではないが、一丸で取り組めば十分に達成できる」と強調。各自治会で啓発に努め、機運醸成を図る。ただ、目標が達成できない場合はごみ袋の記名方式の導入や有料化を再度検討するという。
 中長期的な減量は市民に相当な負担を強いる。個々の努力だけに頼ると、いずれ限界を迎えるだろう。無理なく参加できる仕組み作りも必要だ。
〈2022.03.20 あなたの静岡新聞 【解説・主張しずおか】〉