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プラモデルの街・静岡 どうして日本一?

 プラモデル出荷額日本一を誇る静岡市。街中にプラモニュメントを設置し、「模型の世界首都」をアピールしています。そもそもなぜ静岡がシェアナンバーワンなのでしょう。理由は江戸時代にさかのぼります。歴史的背景とともに、静岡市のユニークな取り組みをまとめました。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・石岡美来〉

公衆電話の「プラモニュメント」 JR静岡駅に登場

 静岡市とNTT西日本静岡支店は13日(※2022年3月)、組み立て前のプラモデルの部品群をかたどった「プラモニュメント」をJR静岡駅コンコースに設置した。公衆電話と組み合わせたデザインで、多くの市民らが写真を撮るなどして完成を祝った。

公衆電話をモチーフにした「プラモニュメント」=JR静岡駅コンコース
公衆電話をモチーフにした「プラモニュメント」=JR静岡駅コンコース
 モニュメントは縦1・7メートル、横1・9メートル。本物の公衆電話や受話器の模型などが組み込まれている。
 同日の除幕式で初めてお披露目され、番匠俊行支店長は「多くの通勤・通学者、静岡への来訪者の目に付く場所にある。新たな待ち合いの場、ランドマークとなってほしい」と期待を込めた。田辺信宏市長は「ものづくりのまち静岡を世界にアピールしていきたい」と思いを述べた。公衆電話の災害時における必要性も強調し、積極的な利用を促した。
 プラモデル出荷額日本一を誇る同市が、まちのにぎわい創出や市民の郷土愛醸成を目指して進める「市プラモデル化計画」の一環。市は昨年3月、市役所静岡庁舎やJR静岡駅南口広場など3カ所にモニュメント4基を設置した。民間企業が主導で制作するのは今回が初。今後も賛同事業者を募り、官民連携で市の魅力発信に取り組んでいく。
〈2022.3.14 あなたの静岡新聞〉

「プラモデルのまち」PR 交流人口拡大、地域の活力向上へ

 静岡市は2020年度、博報堂グループで商品・イベントなどをプロデュースする博報堂ケトル(東京)、静岡博報堂(同市葵区)と連携し、プラモデル出荷額日本一の都市としての情報発信を強化する。市内にプラモデルをモチーフにした工作物を設置して交流人口拡大に活用し、地域活力の向上を目指す。

「プラモニュメント」のイメージ(静岡市提供)
「プラモニュメント」のイメージ(静岡市提供)
  18日(※2020年2月)発表した20年度当初予算案に関連費用3千万円を盛り込んだ。また同日に両社と包括連携協定を締結。博報堂グループの創造力を生かしたシティープロモーションや産業振興策を重ねる態勢を整えた。
  新年度は「プラモニュメント」と称する組み立て前のプラスチック製部品群(ランナー)をかたどった工作物を、葵区の中心市街地に10基程度設ける。うち4基は市が1800万円を投じて制作し、道路脇の市有地や公園などに配する。また博報堂グループの提案に賛同した地元企業に補助金(計1200万円)を交付し、別に6基前後誕生させる。
  設置後は積極的なPRを展開して国内外の模型ファンを市内に集めることで、会員制交流サイト(SNS)への投稿、拡散効果による交流人口拡大を見込む。
〈2020.2.19 静岡新聞朝刊〉

出荷額全国1位の静岡 江戸時代から由縁が…

 静岡県内は青島文化教材社のほか、タミヤやハセガワなど模型メーカーが集積している。機動戦士ガンダムのプラモデルで知られるバンダイスピリッツの主力工場も静岡市葵区に立地。プラモデル出荷額は183億4300万円(2017年)で国内出荷額の9割を占め、圧倒的な全国シェア1位を誇っている。

バンダイホビーセンター=静岡市葵区
バンダイホビーセンター=静岡市葵区
  江戸時代に全国から木工職人が集まり定住した歴史的背景から、木製模型の製造が盛んになった。第2次世界大戦後に米国製プラモデルの輸入が始まると、プラスチック素材への転換が進み、国内模型産業をけん引する生産地に発展した。
  県内出荷額のピークは1989年の364億円。少子化やテレビゲームの台頭などで減少の一途をたどっていたが、2007年の88億円を底に反転。輸出拡大などが奏功して増加基調にある。
〈2020.8.19  静岡新聞朝刊〉

不要な「枠」もアートに再利用 資源循環のモデルに

 静岡市は、プラモデルを組み立てた後に残る枠(ランナー)を回収する取り組みを始めた。廃棄されることが多いプラスチックを再利用し、市民らの協力を得てアート作品によみがえらせる。多くの模型メーカーが集積する「プラモデルのまち」から資源の再利用を呼び掛ける。

静岡市が設置したランナーの回収ボックス=12月中旬、同市葵区役所
静岡市が設置したランナーの回収ボックス=12月中旬、同市葵区役所
 12月(※2021年)中旬、葵、駿河、清水の各区役所に専用の回収ボックスを設けた。高さは約90センチで、模型メーカーハセガワ(焼津市)のオリジナルロボット「メカトロウィーゴ」をあしらい、親しみやすさを演出した。来庁者にランナーを投入してもらい、市職員が定期的に回収する。
 集まったランナーはアート作品に生まれ変わらせる計画だ。回収ボックスの設置に先立ち、静岡大の学生や市内の小学生らに呼び掛けてモザイクアートを制作。11~12日に駿河区のツインメッセ静岡で開かれた「ホビーのまち静岡クリスマスフェスタ」でお披露目し、来場者の注目を集めた。
 静岡市はプラモデルの製造品出荷額で全国約8割のシェアを誇る「模型の世界首都」。産業振興課の水野智之係長は「多くのプラモデルを生産しているからこそ、率先して資源の再利用に取り組むことが大切」と意気込む。
 模型メーカーでも循環型社会を目指した動きが広がる。静岡市に生産拠点を置くバンダイナムコグループ(東京都)は4月から、主力のプラモデル「ガンプラ」のランナー回収を始めた。運営するアミューズメント施設など約200カ所に回収ボックスを設置し新しいプラモデル商品に活用する。
 回収量は1年目の目標に掲げた10トンを既に突破した。ガンプラを生産するバンダイスピリッツの担当者は「リサイクル意識の高まりを実感した。今後も回収場所を増やしていきたい」と話す。
〈2021.12.27 あなたの静岡新聞〉