意見分かれる 5~11歳ワクチン接種 静岡県の状況は?
5~11歳への新型コロナウイルスワクチン接種が静岡県内でも3月から始まります。県内各市町は接種方法や医療者の確保など地域事情に即した対応を急いでいます。かかっても重症化しにくいとされる子どもへのワクチン接種を巡っては専門家の意見も分かれています。現時点での情報をまとめます。
〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・安達美佑〉
「希望者数、読み切れない...」自治体、対応手探り
静岡県内で5~11歳への新型コロナウイルスワクチン接種が3月に始まるのを前に、各市町は個別と集団の接種方法選択や、医療者の確保など地域事情に即した対応を急ぐ。ワクチンの取り扱いが異なる12歳以上の接種と同時並行で実施するため、各市町とも誤接種のリスクを防ぐ対策が不可欠。一方、重症化しにくいとされる子どもへの接種を巡っては専門家の意見が分かれ、「希望者数が読み切れない」と戸惑いの声も上がる。

接種で特に注意が必要なのはワクチン管理だ。小児はファイザー製のみで量も12歳以上の3分の1。同市の集団接種は大人と同じ会場にする予定だが、小児専用日を設けた上で、問診から接種まで全て小児科医が担い誤接種を防ぐ。
地域によっては小児科医の確保も大きな課題。小児科がない東伊豆町は河津町の小児科医の協力を受けて集団で実施する予定。
対象者が約4万人の静岡市は、かかりつけ医など小児科中心の個別接種を軸に、3月中旬の開始に向けて地元医師会と調整中。同市保健所の松田仁之統括監は「子どもの診断や接種に慣れた医師が対応するのがいいという意見をもらっている」と説明する。
一方、ワクチンの効果とリスクの評価が分かれる中、松田統括監は希望者数を「大人以上に読みにくい」と打ち明ける。予約状況や供給量を見ながら、必要に応じて集団も検討する方針。
政府は15日に都道府県に対して必要数の8割に当たるワクチン供給スケジュールを示した。各市町の担当者は「計画通り切れ目無く供給してほしい」と訴える。
〈2022.2.17 あなたの静岡新聞〉
効果とリスク理解を 浜松医科大小児科学講座・宮入烈教授
5~11歳のワクチン接種は専門家の中でもさまざまな意見がある。小児の感染症に詳しい浜松医科大小児科学講座の宮入烈教授に聞いた。

一方で、重症化しにくいとされる健康な子どもは高齢者と比べるとメリットが少なく、実感しにくいだろう。接種によって発熱や腕の痛みなどの副反応が起こり、非常にまれだが心筋炎が起こる可能性もある。
接種の判断は、子どもにとってまれな合併症や重症化を減らすメリットと副反応のデメリットをどう考えるかだ。感染することによる社会的な制約も多い。日本小児科学会や日本小児科医会は接種に意義があるとする見解を示した。
今のコロナ対策は重症化の懸念がある大人を守るための意味合いが大きい。まずは大人が追加接種をすることが子どもへの一番の対策になる。
〈2022.2.17 あなたの静岡新聞〉
努力義務適用見送り検討、厚労省 5~11歳のワクチン接種
新型コロナウイルスワクチンの接種への協力を求める予防接種法の努力義務規定について、5~11歳の子どもへの適用を見送る方向で厚生労働省が検討していることが9日、分かった。妊婦は新たに努力義務を課し、適用の対象に追加する。厚労省は10日にワクチン分科会を開き、専門家から意見を聴いた上で結論をまとめる。

〈2022.2.9 あなたの静岡新聞〉
厚生労働省、ファイザー製ワクチンを特例承認
厚生労働省は21日(※2022年1月)、5~11歳の子どもに接種する米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンを特例承認したと発表した。日本でこの年齢層への新型コロナワクチンが承認されたのは初めて。今後は同省ワクチン分科会で実施要領などの検討を経た後、早ければ3月にも接種が始まる見通し。

厚労省によると、ワクチンの有効成分の量は12歳以上の3分の1で、子ども用の別製品となる。
〈2022.1.21 あなたの静岡新聞〉