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沼津市の中心市街地 どう変わる?

 沼津市は2022年度、一般会計当初予算案にJR沼津駅周辺総合整備事業などを盛り込み、まちづくりを再構築するための大型事業を加速させます。沼津市はどう変わっていくのでしょう。過去の記事をさかのぼってみました。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・村松響子〉

駅南地区を軸に 再整備着手

再整備が行われるJR沼津駅前周辺=2018年、静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から
再整備が行われるJR沼津駅前周辺=2018年、静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から
 沼津市は2022年度、まちづくりを再構築するため大型事業を加速させる。これに伴い、1日発表された一般会計当初予算案は前年度当初比10・0%の伸びとなり、規模は781億円と過去最大に膨らむ。JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う新貨物ターミナル敷地造成と調整池築造が1月に始まるなど、都市整備の柱としていた同事業が始動し、積極投資に踏み切る。
 
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 市役所東の香陵公園周辺を市民交流の「ハブ」と位置付け、にぎわい創出を図る。同所に、23年1月に完成予定の新総合体育館整備(香陵公園周辺整備事業)に65億円を計上。地上4階建てで、スポーツアリーナや多目的アリーナ、武道場(4面)、弓道場、卓球場(8面)、屋内ランニングコースなどを備え、本格的なスポーツ拠点とする。隣地の市民文化センターと合わせ、多彩な展開を目指す。
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1年後の完成予定の新総合体育館。新年度の大型事業の目玉とされている=1月31日

 新貨物ターミナル事業は周辺道路整備を進めるほか、JR沼津駅南口を軸に同駅周辺の土地区画整理事業に取り組む。中心街にある中央公園の再整備にも着手し、市民らから指摘されている施設の老朽化や使い勝手の悪さの改善に向け、基本方針の具現化を図る。県内市町で最も早く進める新型コロナウイルスのワクチン接種態勢もさらに充実させる。
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鉄道高架化が予定されているJR沼津駅周辺。南北市街地の一体化や交通渋滞解消が期待されている

 当初予算案の規模はキラメッセぬまづ(同市大手町)を整備した11年度の730億円を大幅に上回る。この10年は700億~720億円台を中心にほぼ横ばいで推移していた。
 〈2022.2.1 あなたの静岡新聞〉

ヒト中心の空間に再編 にぎわい向上へ

 沼津市は、沼津駅周辺総合整備事業の進展と併せて実施するまちづくりのビジョンを示した「中心市街地まちづくり戦略」を策定した。今後20年間程度をかけ、「ヒト中心の公共空間の創出」など四つの戦略に基づいた施策を段階的に展開し、魅力ある中心市街地を再生する。

沼津駅南口前広場のイメージ図(2020年4月1日静岡新聞朝刊)
沼津駅南口前広場のイメージ図(2020年4月1日静岡新聞朝刊)
  ヒト中心の空間をつくるため、沼津駅前を歩行者広場にする。駅舎と駅ビル、南北街区が一体となった空間を形成し、回遊性や利便性を高めていく。そのために、地域の交通体系を再編したり、車道を廃止したりする。
  二つ目の戦略は、拠点機能の立地促進。鉄道高架化によって生じる車両基地跡、貨物駅跡、高架下の土地に、地域の発展に資する施設を整備する。市役所や医療機関、防災公園や商業施設などが候補に上がり、立地特性や市民ニーズを踏まえて検討を進めていく。
  三つ目は、まちなか居住の促進と市街地環境の向上。空き店舗や未利用地の増加で生じた遊休地に、集合住宅を立地誘導してスポンジ化の解消を図る。リノベーションまちづくりや駐車場の配置適正化なども進め、住宅地として暮らしやすい環境を整える。四つ目は、地域資源との連携。中心市街地と観光地、周辺住宅地をつなぐ交通ネットワークを充実させ、相互のにぎわいと魅力向上につなげていく。
〈2020.4.1 静岡新聞朝刊〉

老朽化進む中央公園 再整備へ

 沼津市は、中心街にある中央公園の再整備に向けた基本方針の策定を進めている。2021年度中に基本方針を策定する。開設から半世紀が経過し、施設の老朽化などが顕在化してきたのをきっかけに、バリアフリー化や使い勝手を見直す。

再整備する中央公園。まずは基本方針を策定する=沼津市
再整備する中央公園。まずは基本方針を策定する=沼津市
 素案を近く公表し、有識者による3月の基本方針策定委員会で正式決定する。従来の利便性の良さに利用しやすさを組み込み、多くのイベント開催と誘客を目指す。
 同公園はJR沼津駅近くにあり、狩野川に面している。イベント会場として長年活用されてきた。一方で、トイレや花壇が施設内を分断して活用の障害になったり、段差や階段による高低差が効率的な利用を阻害したりと改善すべき点が表面化していた。
 中心市街地まちづくり戦略や沼津駅周辺総合整備事業と合わせて進める。22年度はワークショップを開き、これまでのイベントに出店した公園利用者や市民などから意見を聞く。
 〈2022.1.16 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞