沼津の魅力発信 人と人結ぶ情報今こそ【転機・コロナ下の選択】

 晴天が広がった昨年12月、沼津市戸田地区の農園では、特産のタチバナの収穫が終盤を迎えていた。4月から同市の地域おこし協力隊として活動する青木恵美さん(45)=浜松市浜北区出身=は、地元の森林組合員や隊員と丁寧に実をもぎ取った。作業の傍ら、タチバナの歴史や効能、活用の取り組みも熱心に聞き取った。

タチバナを収穫する青木恵美さん(右)。自身で体験することも大切に、地域の魅力を発信する=2020年12月中旬、沼津市戸田
タチバナを収穫する青木恵美さん(右)。自身で体験することも大切に、地域の魅力を発信する=2020年12月中旬、沼津市戸田

 青木さんが協力隊として担うのは、海岸線が美しい沼津市南部の三浦(静浦、内浦、西浦)と戸田地区の情報発信。12月には自身が企画・運営するウェブサイト「ヌマヅノミナミ」を開設した。新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークが広がり、地方移住が脚光を浴びる。この好機を生かすサイトにしたいと考える。
 トップページには、お気に入りの用心崎からの景色と「さあ、ゆっくり生きよう」の文字。自然や食、遊びはもちろん、この地でかなうライフスタイルを発信する。
 そして、何より「ここで出会える魅力的な人たちを知ってほしい」。写真や建築、農業などさまざまな分野で活躍し、日々を丁寧に暮らす移住者や地元の人たち。サイトでの紹介をきっかけに「新たなつながりが生まれていけば」と願う。
 沼津に住む前は7年間、横浜のシェアハウスで暮らし、企業の広報やウェブ制作に携わった。ハードワークが続き「この先、どうしよう」と壁にぶつかった時期があった。「本当にやりたいことをやってみなよ」。声を掛けてくれたのが、すでに西浦に移住していたシェアハウスの元住人だった。
 「海の見える土地で暮らしたい。人の夢を応援できるメディアを作ってみたい」。自分の心の声に正直になると、さまざまな縁が重なり、今の生活、仕事にたどり着いた。
 沼津で暮らすようになり、「ここは私に限らず、きっと夢をかなえやすい場」と感じている。「競争や変化が激しい都会に比べれば、何事にも挑戦しやすい土壌がある。小さなコミュニティーだからこそ、人と人がつながりやすい」
 リモートワークの普及で「ここでしか働けない、暮らせない」という社会の制約は弱まった。だからこそ、この地が誰かの新たな選択肢になるよう、精いっぱい魅力を伝えていくつもりだ。

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