浜松で起業 「装う幸せ」を届ける天職【転機・コロナ下の選択】

 薦められたのは、エメラルドグリーンのセーターだった。「自分では絶対手に取らない色。でも、着てみたら驚くほどしっくりきて」。浜松市を拠点に活動するパーソナルスタイリスト杉山美幸さん(32)の顧客の女性は、助言で買った最初の服をそう語る。「その人が求めているものを一緒に探し出す」のが杉山さんの信条だ。

顧客のショッピングに同行する杉山美幸さん(右)=「似合うものを一緒に探す」のが信条=2020年12月、浜松市中区の遠鉄百貨店
顧客のショッピングに同行する杉山美幸さん(右)=「似合うものを一緒に探す」のが信条=2020年12月、浜松市中区の遠鉄百貨店

 昨年10月に起業したばかり。前職は小学校の教員だった。3年勤め、やりがいはあったが、クラス全体を意識しなければならないことも多く、「遅れている子に十分対応できない。もっと一人一人に向き合いたい」と感じてきた。新型コロナウイルス感染拡大による突然の休校が、立ち止まって考える機会になった。
 元々、洋服好き。出身地の北海道から東京の教員養成大学への進学も、おしゃれをしたい一心だった。結婚で浜松へ転居したのを機に洋服販売の仕事に就いたが、特定のブランドの服しか売れず、「一番似合うものを薦められない」と葛藤を覚えた。経歴を知る人から小学校講師に誘われ、転職を決意。講師を務めながら、教員採用試験に合格した。
 昨年春先からの休校期間中。「本当は何をしたいのか」と自問した時、手掛かりになったのはかつての同年代の同僚とのやり取り。教員として機能的で控えめな服装が求められる中でも、色使いなどを意識していると、「どこで服を買っているの」と声を掛けられた。一緒に買い物し、服選びを指南すると喜ばれた。
 「自分がしたいのは一人一人に寄り添う仕事」。昨年4月から休職し、起業支援の窓口に通った。「服装に迷う普通の女性」に向け、ファッション相談やクローゼットの見直し、買い物同行を行うパーソナルスタイリストとして独立しようと考えた。最後の決断を後押ししたのは、コロナ流行下で得た実感だった。「物事は自分の捉え方次第。できない理由と同じくらい、できる理由はある」
 「似合うものを一方的に決めつけたくない」と、今は色の効果で心身を元気にする「カラーセラピー」を学ぶ。「好きな色やその時の気分も踏まえてアドバイスし、服を通じてその人や周囲を幸せにしたい」と思う。

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