静岡で新婚生活 同居かなえた在宅勤務【転機・コロナ下の選択】

 静岡市葵区の阪口(本名井上)瀬理奈さん(33)は昨年10月、6年間交際した婚約者の井上尚紀さん(32)と結婚した。同期入社した都内のシンクタンクで出会い、瀬理奈さんの転職で住む場所が離れて2年がたっていた。「生活拠点をどこに置くか」。結婚に踏み切れない原因だった問題は、新型コロナウイルス感染症の流行で一変した。

休日、水辺の自然を楽しむ阪口瀬理奈さん(右)と夫の井上尚紀さん。野鳥撮影は共通の趣味=2020年12月上旬、静岡市葵区の麻機遊水地
休日、水辺の自然を楽しむ阪口瀬理奈さん(右)と夫の井上尚紀さん。野鳥撮影は共通の趣味=2020年12月上旬、静岡市葵区の麻機遊水地

 尚紀さんの職場は遠距離通勤も可能で、以前から静岡への転居を検討していたが、瀬理奈さんは「毎日通うのは大変」とためらっていた。そこへコロナが広がり、リモート勤務の強化で尚紀さんは出社がほぼ不要に。懸念がなくなった2人は静岡市の中心街に中古マンションを購入、同居を始めるとともに、晴れて結婚した。
 新居のリフォームで凝ったのは仕事部屋。最速のネットワーク環境を整え、2人同時にテレビ会議に対応したことも。瀬理奈さんは「コロナ以前では考えられない生活。急速に進んだ社会のリモート化の恩恵」と受け止める。
 関西育ちで、大学卒業後に上京したのは「就職先の都合」だった。情報通信技術(ICT)関連の調査を担当し仕事は充実していたが、「満員電車で通勤し、帰宅は夜遅く、食事は全て外食。だんだんうんざりした」。就職6年目で退社、静岡市に住む旧友の影響で移住、転職を決めた。
 県産業振興財団で県内企業のICT人材育成や企業間連携を支援するほか、静岡経済研究所の主任研究員としてICT政策を調査する。「対象が大きすぎてリアリティーがなかった」前職に比べ、仕事相手の顔が見えるようになった。調査に協力してくれた経営者を思い浮かべ、「役に立つ報告書を」と思う。
 移住で自分の収入は減ったが、自炊が習慣化し、生活コストも減った。新居は徒歩圏内に必要なものがそろい、都心では望めない十分な広さがある。結婚以来、休日はカメラを手に夫婦で近郊の自然を楽しむ生活だ。「歴史や食も豊か。週末何をしようかとわくわくする」
 リモートが広がった今、住む場所の自由度は上がった。「ちょっと暮らしやすい場所に引っ越す、くらいの感覚で静岡に住む人が増えるといい。本当にいいところだから」
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 新型コロナのまん延は、多くの人の生活や考え方に変化をもたらした。流行下で人生の転機を迎えた女性たちは何を感じ、どんな選択をしたのか。県内の5人に、それぞれの事情や思いを聞いた。

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