迫る幼保無償化(4・完)「各種学校」除外に不公平感

 「10月まで時間がない」。浜松市東区でブラジル人学校「伯人学校イーエーエス(EAS)浜松」を運営する学校法人「倉橋学園」の倉橋徒夢理事は焦燥の中で決断を下した。同校は学校教育法に基づく各種学校の認可を得ている。このうち、3~5歳のブラジル人児童が通う幼年部について、認可の変更を決めた。

隣接の系列保育園で日本人の園児と交流するEAS浜松のブラジル人の子どもたち=浜松市東区(写真を一部加工しています)
隣接の系列保育園で日本人の園児と交流するEAS浜松のブラジル人の子どもたち=浜松市東区(写真を一部加工しています)

 国は幼児教育・保育無償化の対象に外国籍の子を含んでいる。しかし、各種学校の同校は無償化の対象外。一方、同校と同様、ポルトガル語で幼児教育を行う施設でも、磐田市の「チアホーザ」のように認可外保育施設として届け出ている場合は対象。施設の法的な位置付けによって“明暗”が分かれる。
 EAS浜松には、保護者から「無償化の対象になりますか」と複数の問い合わせがあった。共働きの家庭も多く、対応を検討してきた結果が各種学校から認可外保育施設に切り替えることだった。
 浜松市幼児教育・保育課によると、同校は児童福祉法に基づく市への届け出を今月18日に済ませ、現在、無償化の手当を受けるための手続きに入っている。倉橋理事は「無償化のスタートに間に合うように結論が出てほしい」と話す。
 県内では南米系外国人学校として実績のある「ムンド・デ・アレグリア」(浜松市西区)も各種学校の認可があり、対応を模索中だ。
 内閣府は自治体向けの資料で、各種学校を対象外とする理由について「幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えない」と説明する。
 これに対し全国から疑問の声が上がっている。各種学校のうち幼児教育を行うのは外国人学校だけ。無償化の財源には、日本人も外国人も等しく負担する消費税増税分が充てられる。外国人問題に詳しい静岡文化芸術大の池上重弘副学長は「外国人の親も日本で同じように働く人たち。無償化によって子どもを安心して預けられるように対応してほしい」と話す。
 大学の研究者らによるグループは8月、インターネット上で、各種学校の外国人学校への無償化適用を求める署名活動を始めた。実行委員で滋賀県立大の河かおる准教授は「認可外保育施設やベビーシッターも対象になるのに、長年の実績がある各種学校が一律に除外されるのは説明がつかない」と制度の不備を訴える。

 <メモ>各種学校は、学校教育法に基づき学校教育に類する教育を行う施設。授業時間数や教員数などの基準を満たす場合に都道府県知事の認可を受けて設置され、朝鮮学校などの外国人学校のほか、洋裁や珠算、調理学校などが該当する。授業料への消費税非課税措置や、学校法人が運営する場合の法人税非課税などの税制優遇が実施されている。

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