孫育て それぞれのカタチ(2)世代間ギャップ

 インターネットで「育児」という言葉を検索すると、3千万を超える項目が出てくる。産前の勉強に役立ち、産後にもすぐ調べることができる。そんな親にとって、育児経験に基づく祖父母の助言はさまざまな意味で「重い」ようだ。

男児をあやす(後左から)崎田千代子さんと大橋倫代さん。崎田さんがくすぐると、男児はうれしそうにほほえんだ=静岡市葵区
男児をあやす(後左から)崎田千代子さんと大橋倫代さん。崎田さんがくすぐると、男児はうれしそうにほほえんだ=静岡市葵区

 浜松市の30代女性は県外に住む実母の「私の頃は」という言葉に閉口している。「抱き癖が付く」と警戒され、「1回に複数の予防接種は不安」と言われる。反論は聞き入れられない。
 授乳したばかりなのに「泣いたから」とミルクを与えたり、子どもの卵アレルギーを探っている段階で勝手にプリンを与えたり。焦らされる半面、夫の帰りが遅く、近くに友達もいない女性にとって実母は、かけがえのない味方だ。「今日もぐずった」と電話で育児の悩みを話すと「そういう日もあるよ」と励まされ、〝先輩〟の言葉に救われる。女性の心中は複雑だ。
 「母に学んだ」と振り返るのは、核家族で生後4カ月の男児を育てる大橋倫代さん(35)=静岡市葵区=。産後すぐ、スマートフォン(スマホ)で調べながら母乳育児を始めた。情報は初産の疑問に十分応えてくれていると感じた。
 しかし、「母乳を10分間飲まなくなった」「睡眠不足かもしれない」と、インターネットサイトに示された目安と違うたびに動揺するようになった。実母の崎田千代子さん(61)に相談すると「母乳を吸う力が付いたのかも。睡眠は少し様子を見よう」と助言され、「私にはこの子が元気で落ち着いて見える。大丈夫よ」と諭された。
 子ども3人を育て、2人の孫育てをしてきた実母の言葉は心強かった。その言葉通り、健診でも「順調」と言われている。「ネットに縛られ過ぎていたかも」。大橋さんは今、わが子をあやしながら「子ども自身を見て」という母のメッセージをかみしめている。
 崎田さん自身も30年前、育児書頼みの育児をしたことがあった。転勤族の夫と県内外を転々とし、実家の母に相談の電話を頻繁に掛けることははばかられた。3人目を出産し、育児の視野が広がった。目を覚ます音や泣くきっかけなど、赤ちゃんにも個性があることを実感した経験がある。「衛生管理など、スマホに良い情報は載っているので利用すればいい。私は経験者の気付きで応援できれば」
 20年前、育児サークル「かんがるーぐみ」を設立し、昔ながらの育児の知恵の共有を図ってきた静岡市の滝和子さん(53)は、「経験に基づく知恵には大事なものが必ずある」と話し、祖父母による伝承に期待する。
 
 <メモ>抱っこを巡っては「抱き癖がつくと抱っこをせがんでよく泣く」とされたが、現在は「安心感で満たされ心の成長につながる」と推奨されている。予防接種も「1回1種類」が現在は3、4種類を同時に行う。この他、大人が口でかみ砕いたものを与えない(虫歯予防)、アレルギーで食べられないものを確認する、「うつぶせ寝」は突然死の可能性があり危険―など、時代を追って世話の仕方は変化している。

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