<親子に時間を>変わる職場(4)パート活躍「扶養」が鍵

 静岡県中部の病院関係施設の男性事務長は、看護師らの人員配置の調整に頭を悩ませている。人手不足が深刻な中、家庭との両立のため短時間だけ働くパート看護師の「夫の扶養家族でいられる年収の範囲内で働きたい」という希望に沿うためだ。

配偶者のいる女性が年収、労働時間を調整した理由(厚生労働省「パートタイム労働者総合実態調査2011年より)
配偶者のいる女性が年収、労働時間を調整した理由(厚生労働省「パートタイム労働者総合実態調査2011年より)
買い物客でにぎわう昼前後のスーパー。手際良く会計作業を進めるスタッフの多くが短時間勤務の女性パートだ=2月、焼津市のスーパー田子重
買い物客でにぎわう昼前後のスーパー。手際良く会計作業を進めるスタッフの多くが短時間勤務の女性パートだ=2月、焼津市のスーパー田子重
配偶者のいる女性が年収、労働時間を調整した理由(厚生労働省「パートタイム労働者総合実態調査2011年より)
買い物客でにぎわう昼前後のスーパー。手際良く会計作業を進めるスタッフの多くが短時間勤務の女性パートだ=2月、焼津市のスーパー田子重

 「扶養の範囲」とされる年収の境界は二つある。所得税負担と配偶者控除の減額が生じる年収103万円と、健康保険や厚生年金などの社会保険料負担が生じる年収130万円。男性が勤める施設ではパートの2割がこの水準を超えない働き方を望んでいる。
 スタッフの妊娠や出産、突然の退職などで人員が不足すれば、パートにも勤務時間の延長を求めることがある。しかし、看護師は慢性的な人手不足の上に、専門職種で時給も高い。「年収が扶養の範囲を外れて、税負担などで手取りが減ってしまうのは困る」と言われれば、返す言葉もない。男性事務長は「社会保障制度や税制が、本来ならもっと働くことができる女性の活躍を妨げているとすら感じる」と顔を曇らせる。
 短時間で働くパート女性を多く抱える企業が今、動向を注視しているのが社会保険の見直しだ。政府はことし10月、501人以上の企業を対象にパートの年金充実のため、社会保険の加入基準を引き下げる。年収要件は、130万円以上から106万円以上に変更される。社会保険料の負担は本人と企業の折半のため、加入対象が増えれば企業の負担も増す。
 「10月の見直しでは対象外だが、今後さらに加入対象が広がれば、保険料負担は1900万円ほど増える」。県中部でスーパーを展開する田子重(焼津市)の曽根誠司社長は話す。
 同社で働く女性パートの約6割が短時間で働く。小売業は時間帯によって店内の混み具合に波がある。店舗経営に貢献するパート女性の正社員登用も進めるが、フルタイム勤務者だけで勤務態勢を組むより、繁忙時にパートを配置した方が効率がいい。
 経営に貢献してきたパートの存在も、社会保障制度の行方次第で企業収益の圧迫要因になる。しかし、人員削減やパートの労働時間短縮といった対応は「業務効率が悪くなり必要性を感じない」と曽根社長。現状の人員体制でどう利益を上げるか。業務の効率化がますます重要になると見据える。

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