企業と大学、橋渡し次々 静岡県立大・鈴木さん

 静岡市駿河区の静岡県立大の産学連携事業で、地域・産学連携推進室の産学官連携コーディネーター鈴木美帆子さん(43)が活躍している。薬学、食品、国際関係、経営など文理を問わず幅広い学部がそろう同大の強みを生かした共同開発を進め、2013年からの5年間で特許出願件数は計70件を数える。

大学教授、企業担当者らと面談する鈴木美帆子さん(右)=8月下旬、静岡市駿河区の静岡県立大
大学教授、企業担当者らと面談する鈴木美帆子さん(右)=8月下旬、静岡市駿河区の静岡県立大

 自然薯(じねんじょ)のむかごを使った羊羹(ようかん)は同区のとろろ料理店丁子屋と共同開発した。老舗の伝統技術に県立大の知見を組み合わせ、自然薯の新たな活用法を生み出した。今年6月の販売開始以降計200個を売り上げた。
 大学と企業の橋渡し役として、大学の研究や技術を分かりやすく伝えるのが鈴木さんの役割。丁子屋の柴山広行さんは「鈴木さんが専門用語をかみ砕いて説明してくれることでスムーズに開発が進んだ」と感謝した。
 コーディネーターの仕事は多岐にわたり、国際関係学部と富士農商事(静岡市駿河区)が作成したイスラム教徒対応の手引き「ムスリムおもてなしガイドブック」では企業と教授との面談の他、情報収集にも奔走した。富士農商事はこの研究を生かし、中東圏でハラール食を展開している。鈴木さんは「企業の課題を明確にし、先生の研究の魅力を伝えるため、できるだけ企業の担当者と直接会って一緒に検討している」と語る。
 静岡市葵区出身の鈴木さんは関東の大学で生物を研究し理学博士号を取得、製薬会社に就職した。離婚をきっかけに地元に戻り、学術研究と企業勤めの経験を生かせるコーディネーターの道を選んだ。仕事ぶりが認められ、18年4月からは産学官連携に関わる人のバイブルとされる情報誌「産学官連携ジャーナル」の編集委員として活躍する。
 鈴木さんは「企業の困り事を解決するために大学を選択肢に考えてもらえるよう親しみやすいコーディネーターを目指したい」と話した。

 <メモ>大学や研究所の産学官連携事業に関して国は2016年、「日本再興戦略」で「25年度までに大学・国立研究開発法人に対する企業の投資額を現在の3倍にする」という目標を設定。大学の知を外部に生かす取り組みが加速している。県立大地域・産学連携推進室の沢井亨室長は「企業が自ら行っていた研究を大学に委託することが増えている。大学には研究のための研究ではなく、ビジネスにつながる成果が求められている」と話す。

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