農家の営業、代行します 「葉っぱビジネス」経験の大畑さん起業

 “おばあちゃんの葉っぱビジネス”で知られる徳島県上勝町の株式会社「いろどり」に9年間勤めた島田市出身の大畑悠喜さん(32)=千葉県在住=が独立し、農産物の営業代行事業を始めた。県内を含む全国の農産物の隠れた魅力を発掘するとともに、農家と市場関係者を橋渡しする。高齢者が多い農家の所得改善に取り組むことで、「高齢者が稼ぎ、元気でいられる社会づくりにも貢献したい」と意気込む。

「ハナビラタケ」の出荷について、担当者と打ち合わせをする大畑悠喜さん(左)=4月上旬、島田市川根町家山の大井川電機製作所
「ハナビラタケ」の出荷について、担当者と打ち合わせをする大畑悠喜さん(左)=4月上旬、島田市川根町家山の大井川電機製作所

 いろどりは、日本料理に添えられる葉っぱ(つまもの)を高齢女性が生産するビジネスを展開。過疎地に暮らす高齢者世帯の収入源になるばかりでなく、生きがいづくりにも貢献しているとして、全国から注目を集めている。
 大畑さんは大学卒業後、英国留学を経て同社に就職。約160軒ある農家のマネジメントや市場関係者への営業、システム開発に携わり、高齢者が生き生きと働き続けるためのノウハウを学んだ。昨年秋には葉っぱ以外の農家の所得改善にも挑戦しようと独立した。
 大畑さんによると、青果物業界では産地と市場関係者のコミュニケーションが不足しているため、農産物が売れないケースが多くあるという。そこで新たに始めた営業代行事業では、付加価値の高い各地の農産物について、卸売業者や仲卸業者に売り込みながら、業者側の細かな要望を聴取。要望を産地側に伝えることで、農家は高値で売れる時期や規格を把握した上で出荷が可能になる。
 県内産地も頻繁に訪れる。出身の島田市で目を付けたのは伊久身地区の原木シイタケ。地元ではこぶし大ほどに育ったシイタケは家庭用に向かないとして安値で販売されるが、大畑さんは「都内の料亭では大きく肉厚なものが好まれる。需要はある」と助言。農事組合法人いくみ(清水貢代表)は3月、初めて豊洲市場に出荷した。
 同市川根町家山の大井川電機製作所が新規事業として生産し、“幻のキノコ”とも呼ばれる「ハナビラタケ」の営業にも取り組む。都内の料亭にレシピ開発を依頼してPRチラシを作成し、市場に売り込む。伊豆、遠州地域にも積極的に足を運ぶ。
 営業代行事業を始めた背景には、亡くなった自身の祖母が晩年、農業の仕事を離れた直後から急速に元気を失っていった経験があったという。大畑さんは「稼ぐことは社会とつながり、自分の存在価値の確認にもつながる。一人でも多くの農家が稼げるよう力を尽くしたい」と話す。

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