母子手帳「スマホで」広がる 気軽に成長記録、導入の自治体も

 自治体から交付される母子健康手帳の記録をスマートフォン上でも管理する電子化の動きが母親たちの間で広がっている。子どもの成長記録を夫や親族とも共有でき、記録紛失にも備えられるなどの利便性が注目されている。

袋井市が運用する子育て支援アプリを利用する女性=同市内
袋井市が運用する子育て支援アプリを利用する女性=同市内

 「次に何の予防接種を受ければいいか一目で分かり便利」。袋井市の女性(34)は、8カ月の長男が生後2カ月の時から、電子母子手帳を活用している。予防接種の日程管理のほか、「首がすわった」などの成長を空き時間に記録。「スマホは常に持ち歩くので出先でも記録でき、急な通院時も安心。子育て支援センターのイベント情報などもチェックできて重宝している」と話す。
 女性が愛用しているのは、袋井市の子育て支援アプリ「フッピーのぽっけ」。行政が発信する子育て関連情報を一元的に提供する目的で本年度から運用が始まり、現在、約710人が登録している。電子母子手帳の機能も組み込んであり、ワクチンの接種推奨時期を月齢に応じて通知し、日記欄には成長の記録も記せる。
 電子母子手帳の広がりの背景にはスマホの普及と、公費負担となるワクチンが増え予防接種日程が複雑化していることがある。多くの母親がワクチン接種の日程調整に頭を悩ませる中、子育て支援の一環で、電子母子手帳を導入する自治体が全国で増えている。
 前橋市は2013年からマイナンバー制度と連動したシステムを構築。また、神奈川県はことし9月に同県内8市町と連携した母子手帳サービスを開始し、千葉県でも柏市、浦安市などが導入している。
 静岡県の先行事例としては袋井市のほか、牧之原市が乳幼児からの健康情報を一元管理できる子育て支援システムを構築。裾野市も予防接種の日程管理ができる子育て支援アプリを運用している。
 一方、現在利用されている電子母子手帳サービスは、自治体によってシステムが異なるため、転居の際に対応できなくなることもある。そこで、日本産婦人科医会は電子母子手帳の標準化に向け14年に委員会を設立した。

 ■病院側が情報入力
 静岡市立清水病院(静岡市清水区)は、予防接種の誤接種を防ぐ目的でワクチン接種のスケジュール管理や患者の成長を記録する病院独自の「予防接種サポートシステム」を2013年から導入している。さらにこのほど、同システムを応用した「クリニック版の電子母子手帳」も開発した。
 現在普及している電子母子手帳の多くは、母親らがアプリを開いて直接記入する必要があるが、同院が開発したシステムでは病院側が情報入力する。ワクチンの種類だけでなく製造番号など、情報を正確に管理でき、地域の医療機関や自治体が共有すれば、現状は混在している子どもたちの成長記録も一括管理できる。
 システムを構築した上牧務副病院長は「特に予防接種歴などの小児科情報は、成人後も必要で長期的な管理が求められる。自治体や地域の医療機関が連携すれば、有効性はさらに高まる」と話す。
 東日本大震災の際、津波被害で多くの母子手帳が失われた。しかし岩手県では、医療機関と市町村が妊産婦の周産期情報を共有できるシステムを構築していたため、データ復元に役立った。

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