転勤族の妻「静岡の力に」 2グループが始動

 キャリアの中断、再就職の壁、慣れない土地での生活、孤独な子育て―。転勤族の夫を持つ“転妻(てんつま)”ならではの葛藤や悩みを分かち合うとともに、それぞれが仕事や転居で培ったスキルを生かして居住地を盛り上げようとする動きが、静岡県内で広がっている。

てんてんカフェで交流する転妻たち。「ペーパードライバーで移動に困る」など出身地方ごとの共通の話題で盛り上がった=10月下旬、静岡市葵区
てんてんカフェで交流する転妻たち。「ペーパードライバーで移動に困る」など出身地方ごとの共通の話題で盛り上がった=10月下旬、静岡市葵区

 6月、転妻の全国組織「転勤族協会(通称・TKT48)」のチーム東海静岡支部が始動した。メンバーは20~40代を中心とした、県内全域の約30人。看護師や保育士、飲食業、アパレル業の経験者など、顔ぶれは多彩だ。これまでにランチ会を開いたが、狙いは転妻同士の交流にとどまらない。
 他県では、「チーム茨城」が水戸市の依頼で「土産物パンフレット」を共同制作するなど、自治体や企業、団体との連携が進んでいる。静岡支部も茨城のように、「県外出身者ならではの視点」を居住地に還元したいと意気込む。
 持ち前のスキルを発揮する場として12月には沼津市で、イラストが得意なメンバーらが講師を務めるワークショップを開く。同支部代表の吉原香穂莉さん(30)=長泉町=は「転居で職を失い、育児を手伝ってくれる家族が近くにいないため、再就職できない転妻も多い。TKTの活動が個々の自信ややりがいにつながれば」と願う。
 静岡市の子育て支援団体のNPO法人よしよしは10月下旬、乳幼児のいる転妻と転入者向けの第1回「てんてんカフェ」を同市で開いた。25組が参加し、出身地方ごとに分かれて交流した。月1、2回のペースで定期開催する。保育や再就職の相談窓口の紹介も行う。自身が転入者でもある同法人代表の末吉喜恵さん(43)は「今後、参加者がキャリアを生かすための後押しもしたい」と話す。
 静岡市女性会館によると、これまでも同館などが転妻を対象にした交流会を企画し、そこで出会ったママたちがサークルを設立したが、メンバーの固定化や代表の転出に伴う自然消滅の傾向があった。吉原さんと末吉さんはいずれも「継続的な転妻支援」に力を入れる。

 <メモ>TKT48 「転・勤族の・妻」の略。48は「全都道府県と海外」を意味する。前身は2010年、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のミクシィ上で発足。現在15チームが、それぞれフェイスブックにメンバー限定のグループを設けて交流している。希望者はグループへ参加申請し、チーム管理者が承認する。現役の転妻だけでなく、元転勤族で現在は定住している人、転妻を応援したい人も対象。

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