ことしの新語・流行語トップ１０に「ソロキャンプ」がランクインしました。お笑い芸人のヒロシさんがひとり（＝ソロ）でキャンプをする動画は、わが家でもブームになりました。言葉はほとんどなく、自然の音が印象的です。踏みしめられる落ち葉、木々を通り抜ける風、たき火…。耳を澄ますと、心が鎮まっていきます。
　新型コロナウイルス禍で行動の自由がきかなくなり、久々に身近な自然に目を向けたという人も多いのではないでしょうか。予定したことの多くが予定通りにいかない年でしたが、紅葉は例年通り（場所によっては例年以上に）鮮やかでしたし、庭のスイセンも甘い香りを漂わせています。「変わらないこと」が、安心感をくれます。
　医療体制が逼迫［ひっぱく］し、不安が増す日々。当たり前のように移ろう美しい自然の風景が、これもまた自然の一部であるウイルスに立ち向かうエネルギーを分けてくれます。医療現場を守るため、大事な人を守るため、私ができるのはコロナにかからないことだけ。気を引き締める、特別な年の暮れです。 （長島芽生）