こち女ボイス「私の転機」

 2016年に第2子を妊娠中、胎盤が子宮口をふさぐ全前置胎盤になり、3カ月入院しました。大量出血して胎児の命を脅かされたり、毎日24時間点滴して腕が腫れたり、薬で意識がもうろうとしたり…。恐怖や痛みが次々と押し寄せました。まるで現実とは思えないような状況に直面して、学びました。同じような経験をしていない人には、自分の心情をいくら説明しても、なかなか理解されないことを。

 それまで、事故でわが子を失うなど非常につらい体験を取材した時、私は「粘り強く話を聞けば、相手の心をきっと理解できる」と無邪気に信じていたことに気付きました。結果的に無事子どもを授かり、復職してからは、「相手は、自分の想像の及ばないことを経験し、考えている」と意識して取材に臨むようになりました。謙虚に構えることで、相手の話がいっそう深く、心に刺さるようになった気がします。
 先日、30代でがんになり、その後起業した女性が「経験を語れることが、私の付加価値」と話していて、はっとしました。振り返れば、入院時の体験が取材姿勢を変えたことは確かです。つらい出来事が知らぬ間に、自分の糧になっていたのです。  (伊豆田有希)

いい茶0
メールマガジンを受信する >