自立応援「3歩の住まい」 人生100年、長泉にモデルルーム

 長泉町のファルマバレーセンターは人生100年時代を見据え、健康寿命を過ぎた高齢者が自立した生活を送るための機能を備えたモデルルーム「自立のための3歩の住まい」をセンター内に開設する。ベッドから浴室、トイレまでの移動を3歩で済ませることができる間取りが特徴。3月5日から“共同研究室”として公開する。今後、多分野の関係者からアイデアを募り、最善の自立支援部屋を追究していく。

自立支援機能を備えたモデルルーム。ベッドから奥の浴室、トイレまでは3歩で移動できる=26日午後、長泉町のファルマバレーセンター
自立支援機能を備えたモデルルーム。ベッドから奥の浴室、トイレまでは3歩で移動できる=26日午後、長泉町のファルマバレーセンター

 広さは8畳。(1)3歩の空間設計(2)感染症対策(3)ロボット化・AI化(4)家族・社会との絆-の四つの特徴を基本に最新装備を導入した。ベッド、浴室、トイレの間を自力で移動できるよう、それぞれを3歩の距離に配置。床と壁の素材は抗菌、抗ウイルス、抗アレルギー、消臭の効果がある新素材を使用した。
 電動ベッドは角度が4段階で変化し、寝た状態から立ち上がるまでをサポート。家電はスマートスピーカーと連動し、声などで操作できる。背景が透けるディスプレーを窓とテレビ画面の両方で活用。外の景色を見たり、オンラインでの家族交流や遠隔診療に使ったりして社会とつながることも可能にした。
 県東部に医療健康産業の集積を図る県のファルマバレープロジェクトの一環として、2019年度から進めていた。同センターと静岡がんセンターが企業などとコンソーシアム(共同体)を作って研究を重ねていた。モデルルームには、静岡がんセンターの病室設計やみとりの経験が生かされている。
 26日に報道向け内覧会が行われた。静岡がんセンターの山口建総長は「寿命と健康寿命の間には約10年の差がある」と述べ、その期間をいかに自立して過ごせるかが人生100年時代の課題と指摘。「訪れた人と20年後の自立支援部屋を模索したい。医療、福祉、ハウスメーカーなどさまざまな関係者とコラボレーションしながら、新しい機能やサービスを生み出していく」と話した。

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