はやぶさ2エンジン開発 月崎さん(静岡市出身)快挙に喜び

 昨年12月、小惑星リュウグウから砂や小石の入ったカプセルを地球に持ち帰った宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」。初号機に続く快挙には静岡県内出身者も多く携わり、成功を支えた。プロジェクトの柱、イオンエンジンの開発を担当したJAXA宇宙科学研究所助教の月崎竜童さん(36)=静岡市出身=が静岡新聞社の取材に応じ「開発で苦労したからこその成果だった」と喜びを語った。

はやぶさ2のイオンエンジン開発を担当した月崎竜童さん(JAXA提供)
はやぶさ2のイオンエンジン開発を担当した月崎竜童さん(JAXA提供)

 「夜空の小さな光点が徐々に大きくなって輝き、流れ星のようになった」。12月6日未明、回収隊員としてオーストラリアを訪れた月崎さんは、カプセルの火球の光景を鮮明に覚えている。50億キロの宇宙航行を経て目の前に現れたこと自体が「不思議」だった。余韻に浸る間もなく、レーダーで追跡作業に入った。
 落下したと推定される位置を現地本部に伝えた後、吉報を信じて宿舎へ。すぐにカプセル発見の連絡や写真がメールで届き始め、結局その日は興奮して寝付けなかった。
 月崎さんは、はやぶさ2の開発が本格化した2013年にJAXAに採用され、チームに加わった。初号機でみられたイオンエンジンの不具合の改良や性能進化が命題だった。決して順風満帆だったわけではなく、「私たち次第で宇宙に行けないかもしれないという状況を何度も経験した」と振り返る。
 苦労を重ねて推進力や耐久性を高めたエンジンとともに、14年にはやぶさ2を打ち上げた後は、探査機の運用責任者を務めた。「息つく暇もなく、日々の仕事に追われてきた」だけに、カプセルが無事回収されたと知った時の喜びはひとしおだった。「自分たちの成し遂げたことが誇らしかった」
 はやぶさ2は新たな探査地に向け、再び11年の長旅へ入った。「今回もしっかり運用できれば、宇宙で絶対に壊れないエンジンだと証明できる」。期待と緊張を胸に、月崎さんの挑戦は続く。
■同窓生もプロジェクトに
 人工衛星のシステム開発などを手掛ける民間企業「宇宙技術開発(SED)」(東京都中野区)に所属する鈴木亮さん(42)と荒井啓之さん(27)も「はやぶさ2」のプロジェクトを支えた。
 月崎さんは静岡高の卒業生で、鈴木さんと荒井さんも同窓生。特に鈴木さんと月崎さんは共に、打ち上げから1年後に行われた軌道制御の操作「地球スイングバイ」(重力ターン)を成功させた。荒井さんも管制室での飛行運用計画の取りまとめなどに携わった。月崎さんは「鈴木さんは教えてもらうことが多くあって頼もしい先輩。荒井さんもプロジェクトを機に、どんどん成長してほしい」と笑顔を見せた。
 JAXAによると、県内関係者ではこのほか、SEDからJAXAに出向中の藤井淳さん(磐田南高出)や名古屋大大学院環境学研究科の渡辺誠一郎教授(清水東高出)らもプロジェクトの一員として活躍している。

 ■はやぶさ2 世界で初めて小惑星から岩石を採取し、地球に戻った探査機「はやぶさ」の後継機。2014年12月に打ち上げられ、18年6月に小惑星リュウグウに到着した。19年2月の1回目の着陸で表面の岩石を採取。4月には小惑星表面に人工クレーターをつくって地下の岩石を露出させ、7月の2回目の着陸で噴き出した地下試料の採取にも成功した。20年12月に地球近くまで戻り、採取した試料が入ったカプセルを地上へと分離した。

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