西之島探検全容を展示 静岡・地球環境史ミュージアム、教授参加

 静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアムで3月19日まで「西之島探検展」が開かれている。活発な火山活動が見られ、今も成長を続ける小笠原諸島の西之島で、同館の岸本年郎教授(昆虫分類学)が参加した西之島総合学術調査隊(環境省主催)の探検の全容を展示する。

採取した生物の標本や調査隊の装備品について解説する岸本教授=静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアム
採取した生物の標本や調査隊の装備品について解説する岸本教授=静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアム

 鳥類、昆虫、植物、海洋生物、火山などの研究者ら18人でつくる調査隊によって2019年9月、初めて本格的な総合調査が実施された。このとき採取した溶岩や土、昆虫、カニ、貝類などの標本、調査隊の装備品が並び、写真パネルや映像で探検の全容を紹介している。
 調査した旧島部分は20年6月の噴火で完全に埋没したため、今回展示するほとんどの生物は、鳥類を除き絶滅した可能性が高い。岸本教授は「生態系が噴火でリセットされた。最寄りの島から130キロ離れた孤島で、新たに生態系が形成される過程を絶滅前から観察した研究は、世界でもほかにない」と力を込める。
 同島は17年にも噴火している。今回の調査では、当時絶滅した生物がいる一方、太平洋戦争以前に人間が持ち込んだとみられるワモンゴキブリが多数確認された。岸本教授は33種の昆虫・クモなど節足動物を発見。中でもシマクロスジコキバガは日本で初めて記録され、新たに名付けて発表した。「おそらくほかの小笠原諸島にも生息しているのではないか」と推察した。

 西之島 小笠原諸島にある無人の火山島。有史以降最初に噴火したのは1973年。2013年に再度噴火が始まり、新たに海面に出現した新島が旧島を飲み込みながら、陸域面積を約410ヘクタールに拡大させている。

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