急浸透から数週間 声でつながる「Clubhouse」記者体験記

 見知らぬ人や同好の仲間と音声でつながる会員制交流サイト(SNS)「Clubhouse(クラブハウス)」が話題だ。著名人が使い始め、1月下旬から急速に国内に浸透し始めた。早速アプリをダウンロードし、声のみでつながる仕組みが人々の交流にどう生かせるかや注意すべき点などを、にぎわう仮想の“語り部屋”に立ち寄って考えてみた。(社会部・国本啓志郎)

仮想の部屋で歓談を楽しむ「クラブハウス」(写真の一部を加工しています)
仮想の部屋で歓談を楽しむ「クラブハウス」(写真の一部を加工しています)


 >文字SNSより人間味
 アプリを起動すると、今まさに開かれている部屋がスマートフォンの画面に並んだ。気になった部屋に誰でも参加できるが、発言には主催者の許可が必要。有名人による発信、起業家や専門家の議論、共通項を持つ集団の歓談など部屋を設ける狙いはさまざまだ。フォロワー獲得のためだけに開設された“無言部屋”も存在する。
 会社の先輩(29)が静岡について話したい人が集う部屋を主催していると知った。毎回県内外の50人ほどが日替わりテーマを中心に自由に話している。先輩は「仕事に役立つ発想や人脈づくりになれば」との思いから始めたという。「文字のSNSより人間味があり新たな価値観に出合える」と魅力を挙げた。

 >気軽さと危険表裏一体
 「若手記者に取材してほしい静岡の事」をテーマに意見を募ってみた。催しのPRから地域の困り事まで幅広く寄せられ、どの声からも「静岡をよくしたい」という熱が伝わった。会話の転載や録音はアプリの規約で禁じられている。一部の話題は個別に連絡をとって後日正式に取材させてもらうことになった。マナーを守れば人々の距離を一気に近づけてくれるSNSだと感じた。
 一方で、気軽な会話にはわなが潜むことがある。利用者によると、会話を続けるうちに知らない相手を信用してしまい、悪質な勧誘を受けるケースを聞いたことがあるという。参加に制限のない部屋では誰がどんな狙いで聞き耳を立てているか分からない。弱みにつけ込まれないために、必要以上に個人情報を話さないなど自衛が必要だ。

 ■県内ビジネス活用の動き
 クラブハウスを一般消費者や同業者との接点づくりに活用し、事業のアイデアを募ったりPRしたりする県内企業が増えている。
 掛川市で結婚式場を経営する男性は、静岡やブライダルが主題の部屋を積極的に訪問して自身が主催するイベントをPRしている。「共感してくれた同業者の人脈ができ、今後の事業につながりそうだ」と手応えを語る。
 部屋を荒らすなどして他者から運営元に通報されるとアカウントが停止する仕組みのため、建設的な議論を進めやすい。静岡放送は視聴者の意見を番組に取り入れようと、SBSテレビの夕方の情報番組「ORANGE(オレンジ)」やスポーツ情報番組「みなスポ」放送後、番組の延長として出演者らが部屋を開設して感想や企画案を受け付けている。オレンジ担当ディレクターによると、視聴者の意見を実際に演出に取り入れた企画を2月下旬に予定しているという。

 <メモ>Clubhouse(クラブハウス) 米スタートアップ企業が2020年春に始めた音声SNS。好きな話題の部屋に自由に出入りして気軽に会話を楽しめる。自身の電話番号を知る既存会員の招待がなければ登録できず、18歳以上であることと実名登録を原則としている。現在のシステムは試行版で、米アップルの「iOS」のみ対応。海外への個人情報流出や犯罪に利用されることを懸念する声もある。

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