大切に使う喜び、廃工場から発信 沼津の夫婦、回収品販売や講座

 沼津市の映像作家山本広気さん(39)と真紀さん(44)夫妻が、持続可能な社会の実現に向けた拠点施設「循環ワークス」を同市我入道浜町に開設した。さば節工場をリノベーションし、県東部を中心に解体する民家に出向いて食器や古道具、廃材などを回収・販売する。電力は自家発電で賄い、循環型社会を実践的に学ぶワークショップも開く。広気さんは「コロナ禍で人々の価値観が変わりつつある。本当の豊かさを提示する場になれば」と意気込む。

さば節工場を改修し、持続可能な社会の実現に向けた拠点施設を開設した山本広気さんと真紀さん夫妻=15日、沼津市我入道浜町の循環ワークス
さば節工場を改修し、持続可能な社会の実現に向けた拠点施設を開設した山本広気さんと真紀さん夫妻=15日、沼津市我入道浜町の循環ワークス

 循環ワークスは昨年11月中旬にプレオープンした。ボランティアによる協力者を募り、300日かけて自らの手で改修した。さば節をいぶしていた薫製室や排気筒といった工場の面影も随所に残る。
 きっかけは、広気さんが20~30代半ばまで体験した世界放浪の旅。訪れた発展途上国で一本のペットボトルを使い回す現地の生活を目の当たりにし、日本の使い捨て文化に疑問を持ったという。
 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、人々の価値観の変化を感じるという。2人は「これまで大量生産・大量消費こそが豊かさと信じ込んできた。一つの道具を大切に受け継ぎ、感謝しながら使う方が幸福感を得やすいと気付いた人は多いはず」と話す。
 施設は取り壊される民家から不要品を回収し、販売収益で運営する。「リサイクル店や骨董(こっとう)店とは異なり、高額売買は念頭にない」(広気さん)。職人から引き取った古い工具のほか、鮮魚を入れるトロ箱や薪として燃やせる木材など、一見すると“無価値”な物品でも、まだ使えるのであれば何でも再利用を促していく。
 電力は屋上に設置した太陽光パネルで確保し自家発電で賄う。穴の開いた洋服を繕い直すワークショップなども企画し、訪れた人が交流しながら循環型社会を学べる場も提供する。2人は「コロナ禍の今、循環型社会への転換を求める声は確実に高まっている」と語る。
 当面は木~土曜限定で営業し、改修作業も続ける。本格開業は今春を予定している。

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