コロナ禍、社運懸け全身除菌機 沼津の町工場、自動技術生かす
(2021/1/13 09:02)-
沼津市の製造業「エム・ケイ機器」(田中隆社長)が、公共施設や行楽施設など不特定多数が集まる場所に設置して出入りする人に自動で全身除菌を行うノズル式噴霧装置を開発した。1月から販売を始めた。同社は下請け中心の町工場。新型コロナウイルス感染拡大の影響で受注が急減し、生き残りをかけて新製品開発に臨んだ。田中社長は「コロナ禍を新たな挑戦のためのチャンスと捉えたい」と意気込む。
これまで制御盤組み立てなどの下請け中心だったが、コロナ禍のあおりで昨年5月から落ち込んだ受注が現在もほとんどゼロ。思わぬ収入源になったのは約3年前に自社ブランドとして作ったオートディスペンサーだった。自動で消毒液が出るディスペンサーは、コロナ発生前までの累計販売台数2千台から約1年で9500台に急増した。田中社長は「ディスペンサーは当初、副収入にでもなればと思っていた。それが意図せずに業績を支えてくれた」と振り返る。
ディスペンサーの技術を応用し人感センサーを内蔵。人が立つと音声案内とともにノズル部分が上下に動いて除菌液を噴霧する。人が通過しない場合も、設定時間に応じて自動的に噴霧して空間除菌を行う。まずは50台を製造し、介護施設や飲食店、映画館などから問い合わせや引き合いがある。
不特定多数の人が訪れるアミューズメント施設などから「手指の消毒だけでは不安」との声を受け開発に着手。その過程で痛感したのは新事業に挑み続ける大切さ。小回りの利く中小企業の特長と技術力を生かせば、好機は広がっていると意識を転換した。
「最近は取引先から『本業は何?』と聞かれる。それでいいと思う」と田中社長。今後も柔軟な発想でオリジナル製品の開発に力を注ぎたいと前を見据える。問い合わせは同社<電055(933)7211>へ。
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