手洗い、うがい徹底要因? インフルエンザ 静岡県内激減

 静岡県内で季節性インフルエンザの発生報告数が極端に少ない状態が続いている。2020年第50週(12月7~13日)の患者数(139定点医療機関の合計)はわずか3人で、前年同期の1290人から激減。新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されたが、衛生意識の高まりなどで抑えられているとみられる。ただ、年明け以降に大流行するシーズンがあり、関係者は「警戒は必要」とする。

静岡県内の定点医療機関のインフルエンザ報告
静岡県内の定点医療機関のインフルエンザ報告

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 県疾病対策課によると、インフルエンザは139の定点医療機関が県に発生状況を報告。一つの施設を受診した患者が週平均で1人を超えると流行期に入ったと判断される。
 今年の週平均はシーズンの起点となる9月以降、0~0・02人(実数0~3人)にとどまる。昨季は11月初旬に流行期に入り、12月中旬に注意報レベル(週10人以上)となった。流行した年では19年第3週の69・72人、18年第3週の67・92人など患者報告が1万人に迫ったケースがある。
 激減の要因には新型コロナを念頭にした手洗いやうがいの徹底が奏功したとの見方のほか、国をまたいだ移動制限が挙がる。一つのウイルスに感染すると別のウイルスに感染しにくい「ウイルス干渉」の可能性を指摘する専門家もいる。一方で、過去10年のうち、警報レベル(週30人以上)に至らなかった昨季を除く全ての年で年明けに警報レベルになった。県は「流行を見通すのが難しい。基本的な感染対策を継続してほしい」と呼び掛ける。

 ■11月は陽性1人 静岡市静岡医師会
 静岡市静岡医師会によると、新型コロナウイルスとインフルエンザの検査などに対応する同会所属の発熱等診療医療機関に調査したところ、11月の1カ月に3040人が受診。うち新型コロナの陽性判明が80人だったのに対し、インフルエンザ陽性は1人だった。
 静岡医師会は同市葵区と駿河区の開業医らで構成し、指定機関は105施設。調査には89施設が回答した。3040人のうち、症状や行動履歴に応じて新型コロナ検査を790人に、インフルエンザ検査を397人に実施した。
 福地康紀会長は「インフルエンザがこれほど少なかったことはない。ただし警戒を解いてはならない」と指摘。新型コロナの陽性率が10%と高かったことについては、「同市でクラスター(感染者集団)が相次いだ時期だからで、今後は下がることを願いたい」とした。
 発熱等診療医療機関は新型コロナとインフルエンザの同時流行に備え、両感染症を診療、または検査できる医療機関で、県が800施設を指定。11月に始動した。

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