ブルーベリー年内出荷成功 浜松の柑橘農協連合、他産地と差別化

 他産地との差別化を目指し、ブルーベリーの早期出荷に力を入れている浜松市北区都田町の丸浜柑橘(かんきつ)農業協同組合連合会は22日、例年2月下旬ごろに収穫が始まるハウス栽培の「浜松ブルーベリー」を、2006年の栽培開始以降初めて年末まで前倒しした出荷にこぎ着けた。露地栽培が中心のブルーベリーは夏場が最盛期で、通常この時期はまだ花も咲いていない。連合会によると、年内出荷は市場流通する商業栽培としては全国初とみられる。

年内出荷に成功したブルーベリーを収穫する安間耕司さん=22日午前、浜松市北区都田町
年内出荷に成功したブルーベリーを収穫する安間耕司さん=22日午前、浜松市北区都田町

 初収穫は連合会丸浜ブルーベリー部会の安間耕司部会長(39)の加温ハウスで実施。直径2センチほどに実った香り豊かなブルーベリーを一つずつ丁寧に摘み取り、約1キロを浜松青果に出荷した。
 人気のフルーツを他産地の商品がない冬場に出荷できれば高単価で売り出せる上、露地栽培と合わせて長期の取り扱いが可能になる。こうしたメリットを踏まえ、連合会はハウス栽培に着目し、十数年にわたり栽培を重ねてきた。
 19年度からは、農林水産省「次世代施設園芸地域展開促進事業」の一環で東京農工大、県西部農林事務所と連携し、安間部会長の加温ハウスで早期収穫の実証実験に取り組み始めた。
 より早期の収穫を目的に同事業初年度、栽培データを基に二酸化炭素(CO2)量や温度、湿度などの環境を整える複合環境制御機器を導入した。今年8月からは果樹栽培としては珍しく、日の長さを調整する遮光技術を新たに加え、約2カ月早く秋が来たと錯覚させることで、収穫期を大きく前倒しすることに成功した。
 安間部会長は「目標のクリスマスに間に合って良かった。試験段階だが、遮光技術を築ければこの時期の安定生産が可能になる」と期待。連合会は「栽培者の育成を進め、将来的にはクリスマスに合わせた販売の確立も目指す」と意気込む。

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