障害者が輝くファッション誌 静岡発、フリーペーパー創刊
(2020/12/17 20:40)-
障害のあるモデルたちが出演するファッション専門フリーペーパー「MISFITS(ミスフィッツ)」が12月、静岡県内を中心に創刊された。ダウン症や知的障害のあるモデルがスタイリッシュな写真を通じて発信するのは「新しい価値の創造」。関係者は「障害があっても自ら挑戦し、輝くステージを」と夢を後押しする。
静岡市内で放課後等デイサービス事業所を運営する「ライフワークス」の富田宏靖社長(33)が、障害者モデルが所属する島田市の「スタジオエリカ」の青島えりか代表(36)と知り合い実現した。新型コロナウイルス感染症の拡大でファッションショーなどの実施は難しく、雑誌で勝負することに。文章表現はあえて少なく、写真集のようなビジュアルに仕上げた。
創刊号はA4判22ページ。アパレル関係のPR依頼を受けた経験もあるダウン症の斉藤菜桜さん(16)=富士市=ら同誌の専属モデル3人が表紙を飾り、県内の衣装店やジーンズショップから衣装提供を受けた。SNSを通じた募集・写真選考を通過した4歳~30代の8人も静岡市内などで撮影に臨んだ。
青島代表はモデル志望者が地元で活躍する場を増やそうと、ことし1月に事務所を設立。モデルスクールに通う障害者と以前から交流があり「かわいくて魅力的」と、健常者との区別なくスカウトした。「評価基準は健常者と同じ。自分磨きをしているかも大切」と言葉に力を込める。
洋服や撮影が大好きという菜桜さんの母由美さん(50)は「同じダウン症の子どもを持つ親から『(菜桜さんの活躍で)希望を持てた』とコメントが届くこともある」と前向きだ。創刊号のモデル募集に全国から応募が寄せられるなど反響もあり、今後は年4回の発行を予定している。
■国内、活躍の場少なく
海外では有名ブランドがダウン症のモデルを大々的に起用し話題を集めた事例もあるが、国内ファッション業界で障害者の活躍の場は少ないのが現状だ。全国65事業所が所属する日本モデルエージェンシー協会(東京都)の岩田佳典理事長は「重要なのは見た目や着こなしで、障害の有無は関係ない」としつつも「クライアントが何を求めるかが全て。企業側を含めた全体の意識の変化も必要では」と指摘する。
東京五輪・パラリンピックを追い風に、企業広告やメディアへの障害者の露出は増加している。障害や難病の女性向け情報誌「CoCo-Life☆女子部」を発行するNPO法人施無畏(東京都)は企業からのオファー増加を受け、2018年にタレント事務所を設立した(現在は事業を譲渡)。NPOの遠藤久憲代表理事は「障害のあるモデルがランウェーを歩くのが当たり前になる世界を目指している」と話す。
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