日本最小「カヤネズミ」生息地守れ 麻機遊水地で教育、保全活動

 日本一小さなネズミとして知られる「カヤネズミ」が生息する草地「カヤ原」が近年、全国各地で減少している。静岡県の準絶滅危惧種に指定され、生息が確認された42都府県のうち約8割の分布域でレッドリストに掲載されているカヤネズミ。県内の生息地の一つ、静岡市葵区の麻機遊水地では、自然との共生の象徴としてカヤネズミを題材にした環境教育や「カヤ原」の保全活動が進められている。

前足でオギの葉を握りしめ、周囲をうかがうカヤネズミ=9月下旬、静岡市葵区
前足でオギの葉を握りしめ、周囲をうかがうカヤネズミ=9月下旬、静岡市葵区
麻機遊水地に広がる「カヤ原」=2日、静岡市葵区
麻機遊水地に広がる「カヤ原」=2日、静岡市葵区
子どもらがカヤネズミの生態や生息地の「カヤ原」に理解を深める学習会=10月中旬、静岡市葵区の東部生涯学習センター
子どもらがカヤネズミの生態や生息地の「カヤ原」に理解を深める学習会=10月中旬、静岡市葵区の東部生涯学習センター
小さな前足と後ろ足でオギの葉を握りしめるカヤネズミ。長い尾を巻き付けることができ、不安定な葉の上でもバランスがとれる=9月下旬、静岡市葵区
小さな前足と後ろ足でオギの葉を握りしめるカヤネズミ。長い尾を巻き付けることができ、不安定な葉の上でもバランスがとれる=9月下旬、静岡市葵区
前足でオギの葉を握りしめ、周囲をうかがうカヤネズミ=9月下旬、静岡市葵区
麻機遊水地に広がる「カヤ原」=2日、静岡市葵区
子どもらがカヤネズミの生態や生息地の「カヤ原」に理解を深める学習会=10月中旬、静岡市葵区の東部生涯学習センター
小さな前足と後ろ足でオギの葉を握りしめるカヤネズミ。長い尾を巻き付けることができ、不安定な葉の上でもバランスがとれる=9月下旬、静岡市葵区

 「体長約6センチ。日本最小のネズミが身近に住んでいます」。10月中旬に同区の東部生涯学習センターで始まったカヤネズミの学習会。参加した市内の小学生らは、講師の話に興味深げに耳を傾けた。11月1日には麻機遊水地に出掛けて巣を探し、生態や生息地の環境に理解を深めた。
 同遊水地にはカヤ原だけでなく、県のレッドリストで絶滅危惧2類のミズアオイや準絶滅危惧のタコノアシなど希少な植物も多く自生している。同遊水地の環境保全に携わる市民団体「麻機ウエットランドクラブ」の栗山由佳子さんは「今もこれからも人と生き物が共生する環境をつくり上げていける貴重な場所」と、次世代の保全活動の担い手となる子どもたちが環境への興味を深める意義を強調する。
 カヤネズミは健全な湿地環境を維持する上での指標の一つ。行政と連携し、同遊水地で年10回以上の草刈りや動植物の観察会を行っている「麻機湿原を保全する会」の会長後藤昌徳さん(65)は「遊水地は草ぼうぼうで汚い場所と思っている人もいるが、カヤ原の大切さも知ってもらい、動植物のバランスを取りながら守っていきたい」と活動継続に意欲を示す。

 <メモ>カヤ原 ススキ、オギ、ヨシなど大型イネ科植物がまとまって生えた草地。古くから採草や火入れなど人の適度な介入や管理により維持されてきたが、近年は管理放棄や宅地造成、埋め立てなどの影響で減少。環境省の「モニタリングサイト1000里地調査」によると、カヤネズミの生息地である全国約30カ所を調べた結果、調査地の多くで経年的にカヤ原が減り、生息面積が減少傾向にあることが分かっている。

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