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とろろ汁老舗14代目 「丁子屋平吉」決意の襲名

(2020/10/30 08:22)
丁子屋平吉を襲名した社長の14代目柴山広行さん=27日、静岡市駿河区丸子
丁子屋平吉を襲名した社長の14代目柴山広行さん=27日、静岡市駿河区丸子
浮世絵師・歌川広重が描いた「東海道五十三次・丸子」
浮世絵師・歌川広重が描いた「東海道五十三次・丸子」

 とろろ汁で有名な静岡市駿河区丸子の「丁子屋」の14代目、柴山広行さん(42)がこのほど、創業者の丁子屋平吉を襲名した。柴山さんによると、少なくとも明治以降では初の襲名という。400年を超えて受け継がれてきた伝統を背に、創業者名の復活を「原点回帰」と位置付ける。
 丸子の名物とろろ汁は、俳人松尾芭蕉や戯作(げさく)者十返舎一九の作品にも登場する。1596年創業の丁子屋は地域を代表するとろろ汁専門店で、50年前に移築した古民家のかやぶき屋根が特徴だ。
 そんな老舗の周辺にもバブル経済崩壊、リーマン・ショックなどの節目に淘汰(とうた)の風が吹いた。30代に入ったばかりのころ、柴山さんは新たな事業形態を模索した。必死だった。「いま思うと、考えも行動も独りよがりに走ることが多かったかな」と苦笑する。伝統がプレッシャーに変わり、周囲と幾度か衝突した。
 「何か大切なものを忘れていないだろうか」。悩んでいた時、祖父信夫さんが残した言葉を思い出した。「振り返れば未来が見える」。そして、目の前のお客さま、従業員、地域を愛すること。代々が守ってきた理念を胸に深く刻んだ。13代の父馨さん(67)の跡を継ぎ、襲名する決意をした。
 理想は、浮世絵師歌川広重の「東海道五十三次」が描いた茶店。名物とろろ汁の看板を立てたかやぶき屋根の下で家族が店を営む風景が、丁子屋と重なる。
 その地で10月12日、平吉を襲名した。広重の命日に合わせた。
 ことし6月、「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」が日本遺産に登録された。丁子屋はその構成文化財の一つになった。地域の歴史と文化を背負っていることを、当主として、改めて認識している。
 「一日一日の積み重ねが歴史を築く。肩肘張らず、目の前のお客様や従業員、地域の方々一人一人と共にする今を大切にしたい」。そんな決意と願いを胸に、きょうものれんを掛け、客を迎える。

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