浜松・土砂崩れで生活道分断 通勤、流通、医療に影響

 浜松市天竜区龍山町の県道大輪天竜線で発生した土砂崩れで、北遠地区は7月の豪雨被害で通行止めが続く国道152号に加え、第2の幹線までも分断された。県道の通行止めから一夜明けた14日、地域住民からは暮らしへの多大な影響に困惑する声が漏れた。

「少しでも道路復旧のめどが立てば」と語る「スーパーまきうち」の牧内会長=14日午後、浜松市天竜区水窪町
「少しでも道路復旧のめどが立てば」と語る「スーパーまきうち」の牧内会長=14日午後、浜松市天竜区水窪町

 「また原田橋の二の舞いか」-。同区佐久間町から天竜区役所に通勤する40代男性職員は、2015年の原田橋(同町)の崩落以降、交通の不便を強いられた日々を思い、肩を落とした。同日は始業時間に合わせて午前6時半に自宅を出た。通勤時間は普段の約3倍かかったという。
 13日の土砂崩れは、約10キロの通行止めが続く国道152号の迂回(うかい)路として使われていた県道で起きた。新たな迂回路は約60キロの遠回り。市は国道、県道とも通行止めの解消時期は未定としている。被災状況から、長期化は避けられないとみられる。
 影響は、通勤や買い物などの日常行動に加え、流通、医療など広範に及ぶ。同区水窪町の「スーパーまきうち」は週に4回、市中央卸売市場(南区)で商品の魚介類や野菜を仕入れてきた。牧内一会長(69)は「精神的ダメージが大きい」と肩を落とす。迂回路に高速道路も使うため、輸送費増が新たな悩みの種になる。
 同町森林組合は国道通行止めで7月以降、主要市場の県森林組合連合会天竜事業所(浜北区)に出荷できずにいる。熊谷啓司組合長(69)は「国道の秋葉トンネルの北側を一部だけでも通してもらいたい」と切願する。
 同町の池田数子さん(80)は、夫が近く、中区の眼科で手術をする予定という。県道が使えなくなり、「三遠南信道は通り慣れていないし、困った。急な病気も心配だ」と不安を募らせている。
 
 ■浜松市、状況確認急ぐ
 浜松市天竜区龍山町の県道大輪天竜線で13日に土砂崩れが発生し、現場付近が通行止めになった問題で、市は14日の市地域公共交通会議で現場の状況確認を早急に進めることを報告した。
 同県道は、7月の豪雨で斜面崩落などが相次ぎ、一部区間で通行止めが続く国道152号の迂回(うかい)路になっていた。市の担当者は、土砂が流れ込んだ道路面の損傷状況などで復旧時期は変わるとの見方を示した。現場の調査と並行し、倒木の除去作業の準備をしているという。
 会議では国道152号の復旧工事の進捗(しんちょく)状況も説明した。大瀬トンネル北側の崩落現場では、斜面に落下の恐れがある巨岩が見つかり、砕くなどの落石防止工事に本年度いっぱいかかるとの見通しを示した。壁面にひび割れが見つかった秋葉トンネルに関しては、11月初旬にも応急対策で暫定的に通行が可能になる時期を示すとした。通行止めの解消時期は未定。

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