えん堤上流に小型ウナギ 浜松・井伊谷川 魚道使い遡上可能性

 浜名湖養魚漁協青鰻会(浜松市西区)と県水産・海洋技術研究所浜名湖分場(同区)は7日、天然ニホンウナギの遡上(そじょう)を促す魚道を設置した同市北区引佐町の井伊谷川で生態調査を実施した。人工構造物の上流部で体長40センチ未満の小型魚が初めて確認され、同分場は「遡上効果につながった可能性がある」とみている。

ウナギの遡上を促すために設置した芝マットの付近で生態を調査する関係者=7日午前10時50分、浜松市北区の井伊谷川
ウナギの遡上を促すために設置した芝マットの付近で生態を調査する関係者=7日午前10時50分、浜松市北区の井伊谷川

 若手養鰻(ようまん)業者でつくる青鰻会は昨年8月、遡上の妨げになっている同川のえん堤3カ所に凹凸のある芝マット6本を取り付けた。調査はえん堤の上流と下流部の計4カ所で水中に電気を流し、ウナギを気絶させる方法で実施。高さ1メートルを超す2カ所目のえん堤より上流部で昨夏は小型魚を捕獲できなかったが、今回は体長23・3~36・2センチの計3匹を捕まえた。
 中・大型魚を含む総捕獲数は昨夏の36匹から13匹に減った。同分場研究科の鈴木基生科長(52)は「夏の方がウナギの動きは活発なため、減少は季節の影響と思われる。若いウナギでもえん堤を越えやすくなった可能性があり、来年度以降は調査時期を夏に戻して比較したい」と指摘した。
 餌となる小動物や隠れる場所の多い河川上流部に生息域が広がれば、絶滅が危惧されるニホンウナギの資源回復につながると期待される。青鰻会の古橋知樹会長(37)は「効果の可能性が示されて安心した。今後も芝マットの点検と修繕を続けたい」と話した。

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