大学祭「新様式」へ奮闘 規模縮小「密」回避、オンライン配信…

 学生生活の華を守りたい-。新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、県内の一部大学が秋の大学祭の開催に向けて試行錯誤を続けている。現在も多くの大学ではキャンパスの使用を制限され、学生は交流の機会を失ったまま。コロナ禍の先も見つめ、各大学の実行委員会は学生が活躍する場を取り戻そうと工夫を凝らす。

大学祭の動画撮影について考える日本大三島キャンパス「富桜祭」実行委員ら=9月下旬、三島市
大学祭の動画撮影について考える日本大三島キャンパス「富桜祭」実行委員ら=9月下旬、三島市

 「1年生はほとんど通学できていない。大学祭で学生らしさを少しでも味わってほしい」。袋井市の静岡理工科大で実行委員長を務める堀内亮汰さん(21)は強く願う。同大実行委はキャンパスでの開催にこだわった。来場は学生や教職員、その家族のみに限定し、入り口にはサーモグラフィーカメラを設け、「3密」回避も徹底する。
 県内でオンラインイベントを企画するのは3大学。ただ、課題も多い。静岡市駿河区の静岡大静岡キャンパスで開く「静大祭」はミス・ミスターコンテストを配信予定だが、参加者確保が悩み。斎藤翔吾実行委員長(21)は「対面授業が一部しか再開せず、構内に学生が少ない。SNSなどで粘り強く告知したい」と語る。
 70回目の節目を迎える三島市の日本大三島キャンパス「富桜祭」は動画投稿サイト「ユーチューブ」での配信を計画する。学生はダンスのステージやゼミ活動の様子など、学生生活の一部をオンラインで紹介しようと準備中。同大3年でフラダンス部の根岸亜有美さん(21)は「どんな形でも4年生最後の舞台が用意されたらうれしい」と前を向く。
 「大学祭は一生の思い出になる。全てが手探りだが、何とか開催したい。感染が収束したら、構内とネットの双方で開催できる実績を残せたら」。井上雄祐実行委員長(21)は知恵を絞る。コロナ禍で日常生活が変わる中、今後の大学祭の在り方にも変化が求められる。
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 大学祭などのイベント開催について、公衆衛生学が専門の尾島俊之浜松医科大教授は「屋外開催は消毒を徹底すれば問題ない」とした上で、「飲食の際に他人のしぶきが入らないような対策や注意喚起が必要」と指摘する。

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