磐田に「ダイバーシティ美容室」 半個室で思い伝えやすく

 磐田市今之浦の美容室フェイスが「ダイバーシティ美容室」を掲げ、年齢や国籍、LGBTなど性的指向、障害などにとらわれない「その人らしさ」に配慮したサービス運営に取り組んでいる。このほど商標登録した。具現化の取り組みとしてまず、顧客が意思を伝えやすい安全・快適な空間を創出しようと室内の座席を全て半個室型に改装。対応するスタッフの意識や働き方改革も同時に進めている。

半個室の空間でカットなどに対応する河合代表=磐田市今之浦の美容室フェイス
半個室の空間でカットなどに対応する河合代表=磐田市今之浦の美容室フェイス

 目指すのは「社会的なプレッシャーを感じさせずに、あなたらしさ、輝かせる」。5席を配置する室内は、座席回りを壁で囲って座った時に外から見えにくい設計にし、プライバシーに配慮。不安や不快に感じることを徹底して取り除くようにしている。新型コロナウイルス感染対策も加わり、顧客には好評という。
 原点は、河合勝之代表(46)が20代の時、技術を磨くため訪れた英国・ロンドンでの経験。多国籍の外国人の髪形や幅広いニーズに接し、日本と異なる「多様な価値観に触れた」。残業が無く、長期休み取得といった美容師の働き方にも刺激を受けた。ダイバーシティ推進へ、昨年には店の5人でロンドンのヴィダルサスーンのアカデミーで約2週間学び、考えを共有した。
 「お客さんに対応するスタッフも明るく前向きな気持ちでいてほしい」と河合代表。部下のキャリアや人生を応援する「イクボス」を宣言し、残業削減や育児中のスタッフが家庭の時間を確保できるよう後押しもしている。
 ホームページやSNSでダイバーシティ美容室を発信するようになってから、新規顧客も増えつつあるという。スタッフが共通のシャツを着て、国際女性デー(3月)、LGBTプライド月間(6月)などをPRする試みも始めた。広報の松尾侑香さん(34)は「ダイバーシティの考えや意識を浸透させていきたい」と話す。

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