三島「楽寿園」小浜池9年ぶり満水 水都の象徴、近年は枯渇気味…富士山の雪解けと降雨が影響か
富士山からの地下水が湧き出る三島市立公園「楽寿園」内の小浜池の水位が10日、今年最高の156センチを記録した。同園が「満水」とする150センチを超えたのは、2011年以来9年ぶり。かつて豊富な湧水で「水都・三島」の象徴ともされながら最近は枯渇気味の年も多く、関係者は久々の満水に胸をなで下ろしている。
同園では中央付近の池底を水位ゼロ(標高25・69メートル)とし、水面の高さを毎日計測している。今年は春に富士山の雪解けで湧き出た水が20センチほど水位を押し上げたほか、昨年の台風19号と今年6月以降の雨が影響したとみられる。1年前の同時期は水位がほぼゼロで、底がむき出しの状態が続いていた。
周辺の地質に詳しい県地学会東部支部の増島淳支部長(73)によると、湧水は富士山からポンプのように押し出される地下水が数年程度かけて小浜池に到達するとの説がある。かつては絶えず湧水が池をたたえ、源兵衛川など周辺の川に注いでいたが、最近は減少傾向が続いている。
小浜池のほとりは旧小松宮別邸「楽寿館」がたたずむ写真の撮影スポット。満水の池に建物と周囲の新緑が映し出され、美しい雰囲気を醸し出している。山川晃園長は「水が増えた原因は分からないが、満水は素晴らしいこと。ほっとしている」と話した。