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富士山「5合目観光」、山麓2県で温度差 今夏、静岡側は県道閉鎖 山梨は容認の可能性 新型コロナ

(2020/5/28 17:15)
早朝の御来光を目的に集結した富士登山者。開山した場合、3密回避が困難になる=昨年8月、富士山頂
早朝の御来光を目的に集結した富士登山者。開山した場合、3密回避が困難になる=昨年8月、富士山頂

 静岡、山梨両県は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、富士山の全4登山ルートの5合目から頂上までを今夏、一斉閉鎖(通行止め)する。登山者の休息、宿泊に欠かせない山小屋の休業が相次いで決まり、安全確保が困難だと判断した。ただ、雄大な自然や眺望を楽しめる「5合目観光」の受け入れについては、両県の間に温度差がある。
 静岡県は山頂までの登山道に加え、富士宮、須走、御殿場各登山口5合目と山麓とをつなぐ富士山スカイライン(富士宮口)、ふじあざみライン(須走口)、富士公園太郎坊線(御殿場口)の3県道についても、夏山シーズンが終わる9月10日まで閉鎖を継続することを決定した。一方で山梨県は、山麓と吉田口5合目を結ぶ富士スバルラインを補修工事のため今月31日まで閉鎖しているが、閉鎖期間延長などの追加対応がなければ6月以降は「5合目観光」を容認することになる。

 ■相当数の来訪に
 山梨側の吉田口5合目は夏山シーズン中、約140万人を集める一大観光地。静岡側の3登山口5合目を訪れる人の総計の15倍に相当する。大動脈ともいえる富士スバルラインの閉鎖解除について、山梨県は感染症対策と地域経済への影響を勘案して可否を判断するとみられ、静岡側と対応が分かれる可能性が出てきた。静岡県の幹部は「5合目観光の可否も一律対応が望ましいが、両県で事情が異なる」と複雑な思いを口にする。
 静岡県は例年、静岡側3登山口の5合目に通じる県道の冬季閉鎖を大型連休前に解き、11月中下旬まで通行できるようにしている。例年通り各県道の閉鎖を解除して5合目へのアクセスを可能にすると、相当数の来訪が避けられないとみられる。山小屋が今夏の休業を決めたにもかかわらず、夜通し歩いて山頂を目指す「弾丸登山」による遭難の誘発や、し尿・ごみ処理の問題が浮上する。富士宮、御殿場、小山の地元3市町の首長がこうした懸念を募らせ、各県道の閉鎖継続を川勝平太知事に要望した。

 ■3密回避は困難
 富士山の夏山シーズンは例年7~9月の2カ月間。両県は今夏、山梨側の吉田ルートを7月1日に、静岡側の3ルートを7月10日にそれぞれ開通し、9月10日までの開山を予定していた。静岡県によると、夏山シーズンを通じて一斉に閉鎖するのは、県道管理を始めた1960年以降、記録がなく、史上初の対応になるという。
 環境省が集計した昨夏の富士登山者数は23万5千人。このうち静岡側は8万5千人だった。お盆を中心に国内外の登山者で混雑し、御来光を拝める早朝の山頂付近には多い日で1万人近くが滞留するとされる。感染リスクが高まる3密(密閉、密集、密接)回避は困難だ。日本最高峰の厳しい環境に耐える山小屋は構造上、窓が少なく換気がしづらい。
 政府の緊急事態宣言は解除されたものの、再流行の恐れが指摘され、感染収束への道のりは険しい。富士山も抜本的な3密対策を講じない限り、来夏の開山は見通せない。山小屋関係者の1人は「安全安心な環境を整えないと、登山離れが広がってしまう」と危機感を募らせる。

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