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今夏の富士山閉鎖決定 史上初、両県の全登山道 新型コロナ

(2020/5/19 07:37)
今夏閉鎖される富士山の4登山ルート
今夏閉鎖される富士山の4登山ルート
富士山須走口登山道入り口に昨年、設置された通行禁止の警告看板。史上初の夏山閉鎖が決まり、今年は閉ざされたままになる=小山町の須走口5合目
富士山須走口登山道入り口に昨年、設置された通行禁止の警告看板。史上初の夏山閉鎖が決まり、今年は閉ざされたままになる=小山町の須走口5合目

 静岡県は18日、富士山の本県側で管理する富士宮、須走、御殿場の3登山ルートを今夏、一斉閉鎖すると正式発表した。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、国内外の登山者の宿泊や休息、救護に不可欠な山小屋の休業が決まり、登山者の安全確保が困難だと判断。山梨県も吉田ルート閉鎖を決定済みで、富士山は史上初の夏山閉鎖が決まった。
 県は公式ウェブサイトで事態を周知し、国に働き掛けて海外にも発信する方針。川勝平太知事は「今夏の富士山は仰ぎ見る存在として、絵を描いたり俳句を詠んだりして楽しんでほしい。今年は登山の富士山ではないと知らせたい」と述べた。
 一方、「5合目観光」を受け入れるかどうかは未定。富士山の麓と各登山ルートの5合目をつなぐ富士山スカイライン(富士宮口)、ふじあざみライン(須走口)、富士公園太郎坊線(御殿場口)の3県道は例年、大型連休前に冬季閉鎖を解除する。今季はまだ閉鎖中で、今後、山麓市町と協議し、山梨県とも調整して最終判断する。
 当初予定では、山梨側は7月1日、静岡側は7月10日にそれぞれ5合目以上の登山ルートを開き、9月10日までの夏山シーズンを想定していた。県によると、富士山の4登山ルートの夏山期間中の一斉閉鎖は、県が管理を開始した1960年以降記録がない。山小屋や救護所の休業に加え、県警山岳遭難救助隊も山中に常駐しないという。県は今夏、来期に向け登山道の補修や落石対策に取り組む方針だ。

 ■観光関係者、落胆 山小屋「やむを得ない」
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で今夏の静岡県側3ルート(登山道)の一斉閉鎖が18日に発表され、史上初めての夏山閉鎖が決まった富士山。山小屋関係者は感染防止の観点からやむを得ないと冷静に受け止め、世界中から集客を見込んでいた山麓の観光や商業関係者は落胆の声を漏らす。視線を来期に向け、万全な状況で登山客を迎えられるよう決意や願いを口にする。
 「山小屋で感染者が出た場合の対応は難しい。(営業すれば)従業員にも危険が伴う」。富士山須走口山内組合の渡辺昇組合長(70)は県の判断に理解を示した。山小屋での「3密」対策は困難だとして既に一斉休業を決め、富士宮ルートの閉鎖を要望していた富士山表富士宮口登山組合の渡辺尚俊組合長(56)も県の発表を歓迎し「感染症との長期的戦いに備え、今年は対策を整える期間」と気持ちを切り替える。
 御殿場市観光協会は2月に観光案内所を開設し、富士山のPRや登山者の市内回遊促進に力を入れる考えだった。芹沢明彦事務局長(55)は「さあこれからという時。準備を生かす機会がなくなってしまった」と肩を落とす。「収束した時にスタートダッシュできるよう、戦略を練り直したい」と前を向いた。
 開山期には他の月の2~3倍の売り上げがあるという富士宮市の富士山本宮浅間大社前の複合施設「お宮横丁」。佐野高資店長(49)は「夏場の集客アイデアを考えながら来年に向けた準備を進める」と語った。
 御殿場山岳会の会長で県山岳遭難防止対策協議会東富士支部に加わる堀内修さん(69)は緊急時の対応拠点となる山小屋の休業により、登山を強行した人が事故に遭った場合の対処が困難になると懸念する。「登山禁止を周知する必要がある。5合目までの県道を開通するなら監視員を配置すべきだ」と強調する。

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